女子ゴルフ桑木志帆、2勝目の裏に「感覚」蘇らせる名トレーナーの提案「彼女はセンスの塊です」
スタート2時間半前~ラウンド後の宿舎でもサポート
昨年5月、小楠氏は当時ゴルフダイジェスト社の正社員だった中村修氏(プロライセンスを持ち、現在は桑木のコーチ)に紹介され、20歳の桑木と出会った。桑木は既に上位争いの常連だったが、本格的なトレーニングはせずにツアーを回っていた。小楠氏はすぐに「下半身と体幹を強化すべき」と提案した。
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「上背もあるし、恵まれたフィジカルはありました。ただ、重心は体の後ろ側にあり、体重は股関節ではなく両ひざに乗るタイプなので、スイングを安定させるために長くて細い太ももを含めて鍛えていくべきだと思いました」
以降、小楠氏は週に1度のペースで桑木のトレーニングを指導し、試合には隔週で帯同するようになった。かつては稲見萌寧と契約し、2021年の東京五輪銀メダル、賞金女王にも貢献した同氏は、当初から桑木のセンスに驚かされていた。
「とにかく運動神経がいいんです。新しい動きを伝えても、すぐにそれができてしまう。それは持って生まれたものだと思います。あのスイングもいろんなことを吸収しながら、必要な情報、いらない情報を取捨選択しながら自分で作り上げたようです」
試合当日、小楠氏はスタートの2時間半前には桑木とコース入り。ストレッチ、軽いトレーニング込みのウォーミングアップをサポートする。そこまでに約1時間をかけ、ショット、パット、アプローチ練習も見た上でスタート時間を迎える。ラウンドが始まると18ホールをともに歩く。その後の練習も最後まで見た上で、宿舎で桑木をマッサージする。それが1日の過ごし方になる。
「ラウンド中は選手がルーティンで何をしているのか、ミスした時にどんな動きをしていたのかをチェックしています。朝のウォーミングアップの答え合わせという側面もあります。マッサージはスイング維持のためにも必要です。ゴルフスイングは偏った動きですし、まずは体をほぐさないといけない。疲れがたまってくると、楽をして体を逃がす動きが出てきます。調子も落とすし、逃がす時に使っている筋肉に歪みが出てくる。そこを締めて元に戻すケアも大事になります」