ハンドボール男子日本で「親子代表」実現 父は90年代の名選手、25歳末岡拓美が目指す「父超え」五輪の夢
ロサンゼルス五輪に向けてスタートを切ったハンドボール男子日本代表「彗星ジャパン」で、末岡拓美(25=大崎オーソル)が日本のハンドボール史に新たな1ページを刻んだ。末岡は22日、東京・代々木第一体育館で行われた国際親善試合対パリ・サンジェルマン(PSG)戦で日本代表デビュー。元日本代表の父政広さん(56)に続いて、男子日本代表で「親子出場」を果たした。
「彗星ジャパン」で日本代表「親子出場」が実現
ロサンゼルス五輪に向けてスタートを切ったハンドボール男子日本代表「彗星ジャパン」で、末岡拓美(25=大崎オーソル)が日本のハンドボール史に新たな1ページを刻んだ。末岡は22日、東京・代々木第一体育館で行われた国際親善試合対パリ・サンジェルマン(PSG)戦で日本代表デビュー。元日本代表の父政広さん(56)に続いて、男子日本代表で「親子出場」を果たした。
フランスの強豪に31-37。それでも、末岡は手応えを口にした。「世界との差が分かったし、いい経験ができた」。親子二代の代表出場。「代表を目標にやってきたので、そこはうれしいです」とも話した。
父・政広さんは90年代の日本代表を引っ張った名選手。司令塔として攻撃をリードし、97年の熊本世界選手権では主将も務めた。そんな父の影響もあってハンドボールを始め、父が監督を務める長崎・瓊浦高から福岡大→大同特殊鋼と父と同じ道を歩んだ。
17年のユース世界選手権(U-19)では史上初のベスト8入りに貢献し、19年のジュニア世界選手権(U-21)では主将を務めるなど、世代別の日本代表で活躍してきたが、A代表では未出場。バックプレーヤーながらサイドからポストまでGK以外はどこでもこなす器用さが、逆に代表入りを遅らせていたのかもしれない。
昨年「代表に入るため」に大崎に移籍。トニ・ジローナ新監督(51)に潜在能力の高さを買われて今回初めて代表入りした。パリ五輪代表が玉川裕康(29=ジークスター東京)1人だけ、安平光佑(24=RKバルダル)や藤坂尚輝(22=日体大)ら五輪で活躍した選手が不在で若手中心のチームだけに「代表に残るために、アピールしたかった」と話した。
司令塔としてプレーしたが、前半は14-19。「ミスが多くてコントロールできず、自分の良さが出せなかった」と話したが、ハーフタイムにジローナ監督から「今のプレーなら相手は怖くない。もっと前に出てプレーを」と言われて覚醒。後半は伊禮雅太(23=ジークスター東京)との連係から相手の守備を崩して、17-18と接戦を演じてみせた。
攻守にチームをリードして、伊禮のチーム最多6得点に続き、戸井凱音(25=豊田合成)、中村翼(24=ジークスター東京)、荒瀬簾(21=大体大)と並ぶ4得点。「代表での練習は1週間だけだったけれど、後半はいい面が出たと思う」と胸を張って満足そうに振り返った。
目標は「父を超える」五輪出場。日本の連続五輪出場が途絶えた92年バルセロナ五輪予選後に代表入りした政広さんは五輪に出ていない。「これから4年間代表でプレーを続けて、予選を突破して五輪に出る」と、力強く言い切った。
スタンドで息子の代表姿を見届けた政広さんは「まあ。60点ですね」と日本一にも輝いた強豪高の監督らしい厳しい採点。それでも、自身が果たせなかった五輪出場に意欲を見せる拓美に「これからですね」と、うれしそうにエールを送った。
五輪代表抜きの若手中心となったチームだけに「ファンの方からいろいろ言われているのも分かる」と話しながらも「日本代表の誇りと自信を持ってプレーした」と末岡。個々のプレーの強度や経験では苦しんだが、ジローナ監督が重視するスピードは強豪を苦しめた。急成長する「彗星ジャパン」にまた1人、新世代のスター候補が誕生した。(荻島弘一)
(THE ANSWER編集部)