五輪メダリスト対決は両ペア涙の抱擁で幕 タカマツ「幸せ」フジカキ「満足」
涙の抱擁に、大きな拍手が送られた。日本バドミントン界に黄金期をもたらした「タカマツ」と、その飛躍のきっかけを作った「フジカキ」。見応えのある試合は、見る者の胸を熱くさせるものだった。全日本総合バドミントン選手権は29日、駒沢体育館で2回戦を行い、女子ダブルスの高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)は、ストレート(21-19、21-19)で藤井瑞希、垣岩令佳組(再春館製薬所)を破って準々決勝に進出した。藤井、垣岩にとって、個人戦では最後の大会。松友のプッシュを前に滑り込んで返そうとした垣岩のショットがネットを越えず、勝敗が決すると、両ペアは抱き合って、涙を流した。
ロンドン五輪銀フジカキが敗戦、個人戦最後の大会「自分たちの力を出すこともできた」
涙の抱擁に、大きな拍手が送られた。日本バドミントン界に黄金期をもたらした「タカマツ」と、その飛躍のきっかけを作った「フジカキ」。見応えのある試合は、見る者の胸を熱くさせるものだった。全日本総合バドミントン選手権は29日、駒沢体育館で2回戦を行い、女子ダブルスの高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)は、ストレート(21-19、21-19)で藤井瑞希、垣岩令佳組(再春館製薬所)を破って準々決勝に進出した。藤井、垣岩にとって、個人戦では最後の大会。松友のプッシュを前に滑り込んで返そうとした垣岩のショットがネットを越えず、勝敗が決すると、両ペアは抱き合って、涙を流した。
日本代表の先輩と後輩。「フジカキ」は12年に解消したが、17年に復活。今季限りの引退を発表して活動してきた、日本バドミントン界の功労者だ。「タカマツ」は、次世代のけん引役として台頭。リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した。松友は「最初に日本代表に入ったときは、まったく歯が立たず、練習相手にもならないくらい差があって、いつかは追い越したいという反骨心でやってきた。代表に入ってから色々なことを教えてもらい、試合もたくさんした。引退は寂しいけど、本当に長い間、日本のバドミントン界を引っ張ってくれた先輩たち。最後の大会で本当に試合ができると思っていなかったので幸せ」とフジカキペアが大きな存在だったことを認めた。
高橋、松友の「タカマツ」ペアが、16年のリオ五輪で快挙を果たした4年前、12年のロンドン五輪で準優勝し、日本勢初のメダルを獲得したのが藤井、垣岩の「フジカキ」ペアだった。試合後、高橋は「先輩たちがいなければ、ここまで来られなかった。次は自分たちが金を取りたいという気持ちにさせてくれたのは、フジカキペア。本当に感謝している。最後に日本で(対戦できて)五輪のメダリスト対決は(ほかに)ないことなので、幸せな試合だったと思う」と涙を流しながら、感謝を示した。
藤井は「(相手の)2人が高校を卒業してからは、ナショナルチームでずっと一緒にやっていた。そんな選手と、日本で一番大きな大会でできた。長い時間、コートに立つことができたし、自分たちの力を出すこともできた。満足です」と言って、涙をぬぐった顔で笑ってみせた。フジカキペアは、第1ゲームでゲームポイントを握られてから4連続得点で粘りを見せ、第2ゲームは12-14から4連続得点で逆転して見せ場を作った。右ヒザを痛めながらも攻撃的なプレーを多く見せた垣岩も「たくさん(スマッシュを)レシーブされたけど、その分、たくさん打てた。自分たちの良い所も出せた。満足です」と達成感をにじませた。日本が誇る最強種目の女子ダブルスをけん引した2組のメダリストにしか見せられない、感涙の一戦だった。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)