競泳・入江陵介が涙の引退発表「心から幸せだった」 ロンドン銀など五輪4大会出場、会見に北島康介氏がサプライズ登場
競泳の入江陵介(イトマン東進)が3日、都内で引退会見を行った。ロンドン五輪の男子200メートル背泳ぎで銀メダルを獲得するなど、長らく日本競泳界を牽引してきた34歳。2021年東京五輪まで4大会連続の五輪出場を果たしていたが、3月の代表選考会ではパリ五輪行きの切符を掴めなかった。会見では「ここまで長く続けてこられたのは皆さんのおかげ。これから先の人生が輝けるように頑張っていきたい」と感謝の思いを口にした。
引退会見、ロンドン五輪では3つのメダルを獲得
競泳の入江陵介(イトマン東進)が3日、都内で引退会見を行った。ロンドン五輪の男子200メートル背泳ぎで銀メダルを獲得するなど、長らく日本競泳界を牽引してきた34歳。2021年東京五輪まで4大会連続の五輪出場を果たしていたが、3月の代表選考会ではパリ五輪行きの切符を掴めなかった。会見では「ここまで長く続けてこられたのは皆さんのおかげ。これから先の人生が輝けるように頑張っていきたい」と感謝の思いを口にした。
黒のスーツ姿で拍手とともに登場した入江は「私、入江陵介は引退を決意させていただきました。長く競技生活を送ることができ、本当に心から幸せだったと感じました。沢山の方々のサポートをいただき、自分自身の力ではここまで来ることができなかった。本当に感謝したい」と口にした。
16歳で初めて日本代表入りして以降、18年もの間日本代表として戦ってきた。「人生の半分以上が日本代表として過ごす日々で、自分の家というか、家族というか、日本代表というのはそういう場所であり、そういう人たちの中で自分自身が成長できたと思っている」と日の丸への想いも語った。
目には涙をため、時折言葉を詰まらせながらも「パリ五輪という夢は叶えることができなかったが、ここまでチャレンジができ、個人的にはパリの地で引退したい気持ちは強かったけれど、引退のレースを東京の地、日本の地で沢山の人の目の前で泳ぎ切ることができて何より幸せな瞬間でした」ともコメント。「自分自身すっきりした気持ち、どこか悔しい気持ち、晴れやかな気持ち、いろんな感情が混ざっているが、何より大好きな水泳をここまで続けられたことがよかった」と話した。
会見にはサプライズゲストとして、アテネ五輪、北京五輪で2大会連続平泳ぎ2冠を達成した北島康介氏が登場。共に世界で戦った先輩から労われ、堪えていた涙が溢れた。入江にとっては「雲の上の存在。その想いを後輩たちに伝えたいと現役を続けてきました」と尊敬する相手。「昨日LINEしたのに返ってこなかった。びっくりの涙です」と繊細で、涙もろい一面もみせた。
入江は12年ロンドン五輪で400メートルメドレーリレーの第1泳者を務めた。個人種目でメダルを逃した北島氏らと銀メダルを獲得。「(北島)康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」(松田丈志)と団結力を発揮した。「競泳は(代表選手)27人のリレー。(最終種目の)男子メドレーリレーの最後の選手がゴールするまで(大会は)終わらない」という言葉も残した。
自身初の金メダルを目指した16年リオデジャネイロ五輪ではメダルなしに終わり「賞味期限切れかも」とも話したが、招致段階からかかわっている東京五輪への思いも強く現役を続行。4度目の五輪となった東京では競泳チームの主将を務めた。
東京五輪の100メートルでは準決勝で敗退したが、200メートルでは7位。日本新記録の6位でメドレーリレーで大会を終え、本人も「引退を考えた」という。それでも「やり残したことがある」と現役を続行。日本競泳界では初の五輪5大会連続出場を目指したが、先月の代表選考会で出場権を逃していた。レース後には「やりきった」と、満足感を口にしていた。
今後は所属するイトマン東進に籍を置きながら、後進の育成、幅広い層への水泳の普及に携わる。「大学院等の進学も考えていて、いろんな活動をしながら勉強をしたい。小さい頃からの夢がアナウンサー。今まではメディアに伝えていただく立場だったけれど、伝える立場になってみたいなという気持ちもある」と展望を語った。
■入江陵介(いりえ・りょうすけ)
1990年1月24日生まれ。2005年、高校1年時に高校総体200メートル背泳ぎで優勝。在学中に日本記録も打ち立てた。08年北京大会で五輪初出場。同種目で5位入賞を果たすと、12年ロンドン五輪では銀メダルを獲得。400メートルメドレーリレー銀、100メートル背泳ぎ銅と、合わせて3つのメダルを獲得した。16年リオデジャネイロ、21年東京五輪にも出場。競泳日本選手団の主将も務めた。今年3月の代表選考会では男子200メートル背泳ぎ決勝で3位となるなど、パリ五輪の代表入りを逃していた。
(THE ANSWER編集部)