違法賭博を報じたESPN記者が番組出演

　米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手の通訳を務めていた水原一平氏の違法賭博問題に関して、本人へのインタビューを実施するなどこの問題を先んじて報道してきた米スポーツ専門局「ESPN」のティシャ・トンプソン記者が米国の人気番組に出演。水原氏が最終的に覆した証言は「記事で公開寸前だった」「ちょっと待って、何かが起きているから、と言われたんです」と慌ただしい舞台裏を語っている。

　米ストリーミングサービス「Rokuチャンネル」の人気番組「ザ・リッチ・エイゼン・ショー」公式YouTubeチャンネルに登場したトンプソン記者。「明確にしておきたいのですが、最初の水原氏へのインタビューで語られたことと、私が集めた資料と情報筋を基にした記事は公開寸前でした。本当に公開間際ですよ。それが何度も電話をかけることになり、慌ただしくちょっと待って、何かが起きているから、と言われたんです」と、記事で報じるまでの舞台裏を語っている。

　違法賭博について情報を掴んだトンプソン記者は、20日に韓国で行われた開幕パドレス戦の前に水原氏にインタビュー。昨年末に負債額の肩代わりを大谷に依頼し、送金が行われたなどと当初は説明されたが、その後に水原氏は嘘をついていたとして発言を撤回したとされている。

　最初のインタビューを行った後、トンプソン記者はパドレスとの開幕戦の間に記事を執筆し、試合後に最終チェックをしていたという。公開直前について「オオタニの広報と連絡を取っている最中にオオタニの弁護士から、オオタニが大規模な窃盗にあったと連絡を受けたと伝えられたのです」と振り返っている。

「これは、私がやったインタビューとは、かなり異なる内容です。だから電話をかけ始めたのです」。トンプソン記者は最初に水原氏に連絡。最初は繋がらなかったものの、水原氏は電話に応じて「はい」「いいえ」の質問に回答したと説明している。「（大谷側の）声明を彼に読み上げて反応を聞いたのですが、あまりありませんでした。だから『イッペイ、私にインタビューで嘘をついたの？』と聞くと『イエス』と言ったのです」とやり取りを明かした。

　番組司会のリッチ・エイゼン氏は「何も起きなかったかのようにミズハラがオオタニとベンチでお喋りしていたのを、みんなが見ている」と開幕戦のベンチでの光景に言及。インタビュー直後だったこともあり「困惑させられます」と戸惑いを口にした。トンプソン記者も「ベンチにいる2人を（テレビで）見ていた私がどんな風だったか想像できないでしょうね」と同調した。

　舞台裏を知る数少ない存在として、インタビュー直後もベンチで変わらず大谷と会話していた水原氏の様子はどう映ったのか。トンプソン記者は「私は記者を長年やっています。人々は異なる反応を見せるし、もう何にも驚きません。そうとだけ言っておきましょう」とコメントしている。