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正智深谷が7年連続全国切符 退場のエース渡部琉は涙で感謝「味方に助けられた」

エース退場の苦境を乗り越えた。高校バスケットの祭典「ウインターカップ」(全国高校バスケットボール選手権)埼玉県予選会は、14日に最終日を迎え、決勝は正智深谷が97-77で埼玉栄を下して7年連続8度目の全国大会出場を決めた。

埼玉栄を破って8度目の全国大会出場を果たした正智深谷【写真:平野貴也】
埼玉栄を破って8度目の全国大会出場を果たした正智深谷【写真:平野貴也】

ウインターカップ埼玉決勝、埼玉栄を破って8度目の全国大会出場

 エース退場の苦境を乗り越えた。高校バスケットの祭典「ウインターカップ」(全国高校バスケットボール選手権)埼玉県予選会は、14日に最終日を迎え、決勝は正智深谷が97-77で埼玉栄を下して7年連続8度目の全国大会出場を決めた。正智深谷は、終盤に訪れた危機を切り抜けた。69-65で4点をリードし、試合時間が残り7分半を切ったところで身長192センチのエース渡部琉が5つ目のファウルで退場。しかし、シューターを務める伊藤陵の3ポイントなどで相手に点差を詰めさせず、最後は焦って攻める相手シュートのこぼれ球を拾い、逆襲でリードを広げて勝利を収めた。

 エースの渡部は、相手の長身選手にマークされ、ドライブで切り込んで得点を挙げる形をなかなか作れず、試合後は「思うようにいかなかった。最後の最後でコートに立てず、迷惑をかけた。味方に助けられた」と涙ぐんだ。チームを救ったのは、反骨心で力を高めてきた選手たちだった。正智深谷は、全国大会の常連校。毎年、力のある下級生が上級生の中に入ってプレーし、世代交代を円滑に進めてきた。しかし、今夏のインターハイ(全国高校総体)の際には、前年までに全国大会を経験しているメンバーが渡部と主将の勝山大輝しかいなかった。成田靖ヘッドコーチは「例年に比べれば、力は落ちる。今日は、負けても仕方がないと言おうと思っていたが、選手に負ける気がなかった。渡部が退場してしまったけど、1月の新人戦のときにはメンバーに入っていなかった石橋柊、伊藤陵がチームを引っ張ってくれたので、見ていて楽しかった」と話した。

エースとしてチームをけん引したが終盤に退場となったエース渡部琉【写真:平野貴也】
エースとしてチームをけん引したが終盤に退場となったエース渡部琉【写真:平野貴也】

お前たちは、絶対に無理―挑発的な叱咤に応えた選手たち

 お前たちは、絶対に無理――指導者の挑発的な叱咤に、選手は応えた。外角シュートを決め続けた伊藤は「渡部が退場したときは拮抗していたし、一番ヤバイと思ったけど、最後は、気持ちが勝負。それだけを意識した。自分にはシュートしかないので、1日100本以上は打って来た」と胸を張った。窮地をしのいでたどり着いたウインターカップ全国大会は、前回大会や今夏のインターハイ(ともに2回戦敗退)の悔しさをぶつける場でもある。退場の悔しさを噛み締めていた渡部は「昨年は、自分がマークしている選手に走られて(マークを振り切られて)しまった。今度は自分がチームを助けたい。インターハイの中部第一高校(愛知)戦は、自分が留学生のマークについていたけど、勝ち気で当たって行けずに点差が離れてしまった。今度は、経験を生かして、足を使って頑張りたい」と全国ではチームをけん引する決意を語った。

 力不足の否めない世代だったが、エース不在を乗り切るチームに仕上がった。成田ヘッドコーチは「もう一度、守備を鍛え直す。今年は外のシュートがあるので、可能性はある。全国大会の目標は、選手に決めさせたいけど、常に昨年のチームと比較されてきたから、僕の中では、昨年(2回戦)以上。まぐれ、まぐれの連続でもいいから(8強入りして)メインコートに行きたい」と、力のある先輩たちが歩を進められなかった領域への挑戦に意欲を示した。苦しい時こそ真価が問われる。全国大会でも秘められた力を解放し、無理と言われた上位へ踏み込むつもりだ。

(平野 貴也 / Takaya Hirano)


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