V3坂本花織、クリスマスイブは涙→笑顔 「花織らしくない」公式練習の雷から“無の境地”で頂点
フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)は24日、女子フリーが行われ、世界女王・坂本花織(シスメックス)が154.34点、合計233.12点で3連覇を達成した。緊張感に包まれた年内最後の試合。公式練習では中野園子コーチから「花織らしくない」と注意を受けていた。女王だからこその重圧。「今季は全日本選手権と世界選手権のV3を目標にやってきた。ひとまずホッとしています」と笑顔を取り戻した。
フィギュアスケート全日本選手権
フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)は24日、女子フリーが行われ、世界女王・坂本花織(シスメックス)が154.34点、合計233.12点で3連覇を達成した。緊張感に包まれた年内最後の試合。公式練習では中野園子コーチから「花織らしくない」と注意を受けていた。女王だからこその重圧。「今季は全日本選手権と世界選手権のV3を目標にやってきた。ひとまずホッとしています」と笑顔を取り戻した。
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緊張を跳ねのけた会心の演技。坂本はフィニッシュ後の左手に力を込めた。感情をこめて振り下ろす。やり切った表情でスタンディングオベーションを浴び、リンクを降りる際は中野コーチとハグを交わした。滑らかなスケーティングに、ジャンプ全てを揃えて全日本3連覇を達成。同じくV3を目指す来年3月開催の世界選手権代表にも選ばれた。
中国で開催されたグランプリ(GP)ファイナルから帰国後、体調不良に苦しんだ。長野入り後は徐々に回復したが、今度は3連覇の重圧に心が押しつぶされそうになった。「ちゃんとやらなきゃという緊張が大きくなりすぎて、公式練習の時は息がすぐ上がるくらいだった」。思うように身体が動かなかった。
練習終わりに、中野コーチから「花織らしくない」と厳しい言葉を受けた。経験豊富な女王でもメンタルは不安定な状態。「いろんな感情が混じりすぎて、慰められるとすぐ涙腺が緩くなってダメでした」。それでも切り替えられるのが坂本の強さだ。友達、トレーナーと話してリセット。「気づいたらコレオでスライディングしていた。何も考えずにやった方がよかったのかな」。本番は“無の境地”だった。
今大会は15歳の島田麻央が3位、13歳の上薗恋奈が4位と健闘。ともに200点を超える演技で、若手の台頭も感じている。「全日本で何としてでも結果を残したいというジュニアの気持ちがわかる。上がってこさせまいと頑張って、自分も踏ん張ってやらないと。ジュニアにもシニアにも良い大会になった」。競争の激化も前向きにとらえる。
今季もう一つの目標、世界選手権3連覇に向けて気の緩みはない。「いろいろな緊張感を経験して、どんな状況でも勝つというのは今季続けられている。いざ勝負しないといけないとなったとき、今までの自分が後押ししてくれると思う」。涙から始まったクリスマスイブ。最後はらしく笑顔で終わった。
(THE ANSWER編集部)