加藤未唯、失格劇は「精神的に大変だった」 混合複Vで涙の訴え「ポイント戻されること願う」【テニス全仏OP】
テニスの4大大会・全仏オープンは8日、パリのローランギャロスで混合ダブルス決勝が行われ、加藤未唯(ザイマックス)ティム・プッツ(ドイツ)組がビアンカ・アンドリースク(カナダ)マイケル・ヴィーナス(ニュージーランド)組と対戦。4-6、6-4の1-1で10ポイント先取のタイブレーク決戦に突入し、最後は10-6で勝利。逆転で4大大会初制覇を成し遂げた。加藤は4日の女子ダブルス3回戦で、試合中にまさかの失格処分を受けて敗退。世界のテニスファン、識者から数多くの擁護の声が上がっていたが、涙を乗り越えて初の栄冠を掴んだ。
全仏オープン混合ダブルス決勝
テニスの4大大会・全仏オープンは8日、パリのローランギャロスで混合ダブルス決勝が行われ、加藤未唯(ザイマックス)ティム・プッツ(ドイツ)組がビアンカ・アンドリースク(カナダ)マイケル・ヴィーナス(ニュージーランド)組と対戦。4-6、6-4の1-1で10ポイント先取のタイブレーク決戦に突入し、最後は10-6で勝利。逆転で4大大会初制覇を成し遂げた。加藤は4日の女子ダブルス3回戦で、試合中にまさかの失格処分を受けて敗退。世界のテニスファン、識者から数多くの擁護の声が上がっていたが、涙を乗り越えて初の栄冠を掴んだ。
【特集】“欽ちゃん球団監督”片岡安祐美の今 2度の流産を経て母に…思春期の後悔「生理に見て見ぬふりを」
(W-ANS ACADEMYへ)
観客の拍手を受けて決勝のコートに立った加藤、プッツ組。第1セット、サービスの安定しない相手につけ込み第1ゲーム(G)でいきなりブレーク。第4Gで0-40とブレークポイントを握られるが、加藤のサービスと前衛プッツのボレーで盛り返し、死守した。しかしエンジンのかかってきた相手に第8G、第10Gでブレークされ、4-6で第1セットを奪われてしまった。
第2セットでは、第2Gで前衛の加藤が連続でボレーを決めるなど、互いに譲らない展開に。4-4で迎えた第9G、40-40のディサイディングポイントで加藤が最後は押し込んでブレーク。第10Gも加藤がボレーで最後のポイントを取り、セットカウント1-1に持ち込んだ。
第3セットは10ポイント先取のタイブレーク。加藤組が7-3で迎えた場面で加藤が見事なボレーを決めてリードを拡大。ここから相手が3連続ポイントと粘るも、最後は9-6から相手の返球がネットにかかって、加藤がグランドスラム初タイトルを掴んだ。勝利の瞬間、加藤は両手を突き上げてガッツポーズ。プッツとハグを交わし、笑顔で観客の拍手に応えた。
加藤は表彰式で「英語はそれほど上手ではない」と準備してきたメモを手に話した。コーチらに向けて「いつも一緒に頑張ってくれて、しんどい時にも一緒にいてくれた」と感謝を口にし、声を震わせた。女子ダブルスの失格を乗り越えての優勝。「精神的にも大変でした。ここ数日は特に大変だった。女子ダブルスからいろんなことがあった。勝たせてくれた皆さんに感謝しています。ポジティブなエナジーをもらって頑張れた」などと語った。
また、女子ダブルスでペアを組み、この決勝の舞台にも駆け付けていたアーディラ・スーチャディに対し「組んでくれてありがとう。失格処分になったけれど、私たちは全力を尽くした。また女子ダブルスで頑張りましょう」と感謝した。また失格になった女子ダブルス3回戦で対戦した、サラ・ソリベストルモ、マリエ・ブズコバ組に対し「女子ダブルスで対戦したペアにも、(今後)いい試合をしたいと願っている」とコメントした。
加藤は女子ダブルス3回戦の第2セット途中、プレーが途切れたタイミングで加藤が相手コートに返したボールが、ボールガールに当たってしまった。ボールガールは涙。加藤は歩み寄って謝罪し、一度は警告と判断されたが、対戦相手がさらに抗議。最終的に裁定が変わり、失格となった。
敗退に涙した加藤は、後に自身のツイッターで賞金とポイントが剥奪となったことを報告。プロテニス選手協会(PTPA)は「偶発的で、攻撃的なものでは全くなかった」と、処分は不当であったと声明で擁護。加藤本人も失格処分の取り消しなどを提訴していた。海外メディア、ファンなども同情した一方で、執拗な抗議を繰り広げた相手ペアには批判が多数寄せられていた。
優勝に涙も見せた加藤は、表彰式で「失格は残念でしたが、今後いい結果が出て、私のポイントが戻されることを願っています」と剥奪されたポイントが戻ることを祈り、訴えていた。
プッツとのペアで勝ち上がった混合ダブルスでは、失格翌日の準々決勝ルイザ・ステファニ、ラファエル・マトス組に勝利して感極まり涙。準決勝では女子ダブルスでコンビを組んだスーチャディ、マトヴェ・ミデルクープ組にストレート勝ちしていた。全仏オープンのこの種目では、ウェスリー・クールホフと組んで優勝した柴原瑛菜(橋本総業)に続き、日本選手が2年連続で優勝を掴むことになった。
■加藤未唯(かとう・みゆ)
1994年11月21日生まれ、京都出身。7歳でテニスを始め、2011年にグランドスラム大会の1つ、全豪オープン・ジュニアダブルスで準優勝。12年には全日本ジュニアシングルス18才以下で優勝を掴む。13年にプロ転向。17年全豪オープンでは、穂積絵莉との日本人ペアで史上初となるベスト4の快挙を成し遂げた。現時点の世界ランキングはシングルス410位、ダブルス31位。身長156センチ。
(THE ANSWER編集部)