ドーピング違反続出で五輪11位→11年後に8位入賞 競歩・渕瀬真寿美は複雑「あの場で8位なら…」
日本陸上競技連盟は2日、日本選手権を開催中の大阪・ヤンマースタジアム長居にて、2012年ロンドン五輪女子20キロ競歩で繰り上がりの8位入賞となった渕瀬真寿美(当時・大塚製薬/現・建装工業)の表彰式を行った。ロシア選手にドーピング違反による失格があり、3月に国際オリンピック委員会(IOC)が順位の繰り上げを発表。渕瀬は当時日本女子歴代最高の11位だったが、これで女子唯一の入賞となった。
ロシア選手のドーピング違反で繰り上がり
日本陸上競技連盟は2日、日本選手権を開催中の大阪・ヤンマースタジアム長居にて、2012年ロンドン五輪女子20キロ競歩で繰り上がりの8位入賞となった渕瀬真寿美(当時・大塚製薬/現・建装工業)の表彰式を行った。ロシア選手にドーピング違反による失格があり、3月に国際オリンピック委員会(IOC)が順位の繰り上げを発表。渕瀬は当時日本女子歴代最高の11位だったが、これで女子唯一の入賞となった。
嬉しさと複雑な想いが交錯した。渕瀬はグレーのスーツで登壇。時折笑顔を浮かべ、賞状と花束を受け取った。「10年以上経っても入賞に入れ替わるんだなと正直びっくりしています。表彰状を見て少しずつ実感が湧いていますね。初めての五輪でいい練習を積んで8位入賞を目指していた。8位の選手の背中が見えていても追いつかず、まだまだ世界との差があると感じながらゴールしたことは今でも覚えています」と当時を振り返った。
3月、IOCはエレーナ・ラシュマノワ(ロシア)が禁止薬物を使用したとして、ロンドン五輪と13年モスクワ世界陸上の金メダルを剥奪。この種目はドーピング違反が相次ぎ、渕瀬は9位まで繰り上がっていた。この種目は金、銀、5位だった選手が失格。当時3、4、6位だった中国勢が繰り上がりでメダル独占となった。
36歳の渕瀬は前日本記録保持者。50キロでも日本記録を保持している。世界陸上は15年を除き、07年大阪から19年ドーハまで5大会に出場した。ロンドン五輪頃は「状態がよく、一番結果が出ている時」。あの時、8位となっていれば違う人生だった可能性もある。「出し切っても入賞に届かなかった。あの場で8位でゴールしていたら凄くやり切ったと喜べたと思います。なかなか今、8位なのは……う~ん」と苦笑いし、複雑な胸中を垣間見せた。
「(ロシアは)国全体でのドーピングだとされていますし、個人としてしたくなかった人もいると思う。どうなっているのか詳しいことはわかりませんが、ロシアの選手はフォームが良くてそういうことをしなくてもメダルを獲れる選手。私はまだやり切れていない部分もあって、今も競技を続けられています」
近年は怪我を抱え、思うような歩きができていない。「今も続けている中での発表なので、もっと頑張れるんじゃないかと感じています。今のタイミングで発表されたのは、今後の人生に必要だから。だから今だったのかなと。競技人生はあと少し。悔いのないように終えたい」。今後は世界陸上やアジア大会の代表入りを狙う。
(THE ANSWER編集部)