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「勝たないと…人目を気にしてた」 100m障害V、大雨の広島で輝いた元大学女王・田中佑美の笑顔

陸上・織田記念国際が29日、エディオンスタジアム広島で行われ、女子100メートル障害では田中佑美(富士通)が自己ベスト12秒97(追い風0.6メートル)で優勝した。前日本記録保持者・青木益未(七十七銀行)は12秒98の2位、現保持者・福部真子(日本建設工業)が13秒02の3位。24歳の田中が新旧日本記録保持者を抑えて日本人4人目となる大台の12秒台をマークし、成長を見せた。

織田記念国際、女子100メートル障害で優勝後に笑顔を見せる田中佑美(右)【写真:奥井隆史】
織田記念国際、女子100メートル障害で優勝後に笑顔を見せる田中佑美(右)【写真:奥井隆史】

陸上・織田記念国際

 陸上・織田記念国際が29日、エディオンスタジアム広島で行われ、女子100メートル障害では田中佑美(富士通)が自己ベスト12秒97(追い風0.6メートル)で優勝した。前日本記録保持者・青木益未(七十七銀行)は12秒98の2位、現保持者・福部真子(日本建設工業)が13秒02の3位。24歳の田中が新旧日本記録保持者を抑えて日本人4人目となる大台の12秒台をマークし、成長を見せた。

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 勝ったのは田中だった。1歩目から飛び出し、慎重かつスピーディーに台を越えた。フィニッシュ直後に声を上げ、満面の笑み。青木、福部の先輩2人にも笑顔で祝福を受けた。「今日は天候もこんな感じでこのタイムが出るとは思わなかった」。本降りの雨に気温15度前後の悪条件。それでも、ベースアップした確かな力を見せつけた。

 関大一高時代にインターハイを連覇すると、立命大に進学。「勝たないといけないと思っていた。(インハイ3連覇の福部)真子さんほど大きなものを背負っているわけではないですが、人の目を気にしていました」。期待、責任から来るプレッシャーとも闘いながら関西インカレ4連覇。日本インカレは2019年に制した。21年に名門・富士通に入社。心も独り立ちするため、関東の筑波大を拠点に移した。

 今年は1、2月に欧州、オーストラリアへ遠征。「自分の中で大きな挑戦だった」。8月のブダペスト世界陸上出場に向けてポイントを獲りにいった。これまでスタートで差をつけられていたため、スタート位置を変更。「スタートの練習をたくさんしたわけではなく、体のコントロールを変えました」。もともと反り腰だが、骨盤を立てるように意識し、体が開く癖も修正した。

 結果的に「接戦でいつもスピードが出すぎると怖い」状態がなくなり、スムーズにスピードを維持できるようになった。「この2年の取り組みがようやく実を結んでいる」。この日は予選も13秒07(追い風0.6メートル)で自己ベスト。今では「あまり周りを気にしないのがモットー。海外でマイペースさが身についたかな」と屈託なく笑う。

 目指すは初めての世界の舞台。青木からは「タイムが縮まるほど上の人が凄いと思うようになる」と言われた。「これよりもっと速い世界を経験されていると思うと、もっと頑張らないといけない」。福部、青木、元日本記録保持者・寺田明日香に次ぐ日本人4人目の12秒台を出した24歳。6月の日本選手権(大阪)でも輝きを放つため、努力を惜しまない。

(THE ANSWER編集部)

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