ヌートバーがWBCで見た人間・大谷翔平の魅力 「誤解しないでほしい」謙虚さの中に秘めた競争心
感動させられたもう一つのエピソード「素晴らしかった」
ヌートバーを感動させたエピソードはもう一つ。大谷が米国戦前の円陣で行った名スピーチだ。「僕から一個だけ。憧れるのをやめましょう」と切り出し、「ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」と鼓舞。侍ナインの士気を高めていた。
「あのスピーチは素晴らしかったです」と振り返ったヌートバーは、「試合前、みんなが感じているけど敢えて触れなかったことがありました。これからモンスターと対戦すると。この打線はとんでもない、私たちのクラブハウスは相手の選手全員を知っています。逆(米国)はそうではなかったでしょう」と核心を突いていたと評価した。
「そこでショウヘイがあのスピーチをしました。彼ら(米国代表の選手たち)に憧れているという事実をみんな気付かぬふりをしていたんです。それが同じ国で生まれ育った人から出てきた。率直に言って、彼(オオタニ)は彼らの誰よりも優れています。あのスピーチはみんなにかなりの自信を与えたと思います。私たちならできると。特にあのショウヘイが言っているのですから」
その後の決勝で、日本代表はスター軍団の米国を打ち破って3大会ぶり3度目の世界一を成し遂げ、大谷は投打の躍動で大会MVPに選ばれた。ヌートバーは「彼はとても謙虚な人間ですが、誤解しないでほしいのは競争心が必要なときには彼は熱くなれるということです。どこの国であろうと彼は負けないという自信を持っています。それを見られたのはとてもクールでした」と謙虚さと競争心の相反する面で優れた大谷に心酔している様子だった。
(THE ANSWER編集部)