夢を追う子どもたちの輝きに魅せられて 【加藤未央のダノンネーションズカップ取材記~1日目】
夢中になってボールを追った先に…
お昼ごろになると、風は冷たいままでも日差しがまた出てきた。ポカポカとして気持ちが良さそうな芝生に座りながら、お弁当を広げて楽しそうに観戦している子どもたちがいる。「何年生?」と聞くと「新5年生です」と口々に教えてくれた。東京都板橋区で活動中のFCレパードの子どもたちだ。大会に参加はしていないけれど、コーチが連れてきてくれたのだという。
美味しそうなお弁当を頬張る子どもたちに試合を見た感想を聞いてみると、「ペナルティーエリア内で崩してゴールしたところとか、勉強になった」と興奮気味に話してくれる。「サッカーは好き?」と聞くと、「大好きです!」と大きな声で即答。「ネイマールみたいな選手になりたいです。自分も試合に勝ちながらフェイントとかをやって、楽しみながらサッカーをしたいです!」と夢を語る目はキラキラと澄んでいる。「毎年来るのが恒例になっているんですが、来年はこの子たちも5年生になるのでエントリーしたいですね」と、その様子を見ていたコーチはにやりと笑った。
ピッチサイドで試合を観戦していると、ボールが飛んで来ることもしばしば。カメラのシャッターを切ることに集中していた私の足に、ボールがコツンとぶつかった。レンズを外してボールを拾い上げると、レジスタFCの4番、梶田航太朗くんが駆け寄って来て「ありがとうございます」と息を切らせながらお礼を言い、また走って試合に戻っていった。
レジスタはついさっき追加点を決めたばかりで、その試合を優勢に進めていた。残り時間が短く選手も疲れが出ている時間帯だし、そのうえ勝っている試合だというのに、1秒たりとも無駄にしないように走っていくその姿を見て、些細な出来事かも知れないけれど、とても胸を打たれた。それと同時に、これが子どもたちの本質だと思った。一瞬無粋な質問が浮かんだけれど、すぐさま頭の中で消す。真っすぐな子どもたちに聞く必要のない質問だったからだ。