夢を追う子どもたちの輝きに魅せられて 【加藤未央のダノンネーションズカップ取材記~1日目】
強豪との試合を楽しんだ末の「ナイスプレー」
私が試合を見ている隣にやってきた子どもたちは、さっき終わったばかりの自分たちの試合について話し合っている。鹿島アントラーズつくばジュニアに0-3で負けた、F.C.エスペランサの子どもたちだ。
「うちはパスを出す先が2パターンあればいいけど、鹿島はそれがもっと多くて強かったです」と話すのは、7番の後藤航大くんと14番の粕谷優くん。負けて落ち込んでいるというよりは、強いチームと対戦できることを心の底から楽しんでいるようだ。
「次は名古屋(名古屋グランパスU-12)とだからな~。13-0くらいで負けるかも!」
その名古屋戦は、頭ひとつ分くらい大きな体格をした名古屋の子どもたちを相手にシュートコースを切ったりプレスをかけたりしながらも、得点をとれずに大敗。防戦一方だったけれど、声を出し合って一生懸命にサッカーをしている姿は試合終了のホイッスルが鳴るまで変わらなかった。
この日の3試合目でチームに初得点をもたらした後藤くんは、ゴールを決めた瞬間に飛び上がって喜び、その試合のナイスプレー賞にも選ばれた。やっと勝てて笑顔がこぼれる子どもたち。嬉しそうな「ナイスプレー!」が小さくこだました。
活躍しているのは、ピッチで試合をしている子どもたちだけじゃない。仲間が試合をしている横で自分の身長くらいある大きな旗を振りながら応援をしているのは、モンテディオ山形ジュニア庄内の上林大誠くん。声をかけられたことにちょっと戸惑いながらも、「自分も出たくて悔しいですけど、チームに1勝でもしてほしいです」と言って、赤く染まった頬をそのままに、チームの応援歌を歌いながら力強く旗を振り続けた。