「泣くな」は間違い― 世界1位マレーが持論、本人に聞く主張の意図は?
マレーが語る、コラムを書いた意図とは…
そのマリーは今季開幕戦のカタール・オープン期間中に、コラムを寄稿した意図を次のように話してくれた。
「男性は……特にスポーツの世界では、子供の頃から泣くなと言われ育っている。泣くことは弱さの象徴であり、アスリートは常に精神的に強くなくてはいけないと思われているからだ。
でもそれは真実ではない。僕たちも普通の人と同じだ。僕たちの多くは、非常に繊細なんだ。感情を殺して生きていくのは、あまりに辛い。だから、僕はあのコラムを書いたんだ」
なおカタール・オープンでのマレーは、決勝でノバク・ジョコビッチに敗れたものの、第2セットで3本のマッチポイントを跳ねのけ、3時間に及ぶフルセットの死闘を演じてみせた。
テニス界最強の男は、繊細さと強さは両立することを、自ら身をもって示している。
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内田 暁●文 text by Akatsuki Uchida