奥原希望、貫録の全日本V3に見えたプライド 五輪再挑戦へ「来年スタートラインに」
負傷からの回復途上、来夏の世界選手権で「スタートラインに立てるようにしたい」
もちろん、次世代に発破をかけるだけでなく、奥原自身も向上心を失わず、次の挑戦を見据えている。2016年のリオデジャネイロ五輪で銅、2017年世界選手権で優勝の奥原は、今夏の東京五輪に出場。2大会連続のメダルを狙ったが、ベスト8で敗れた。
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その後、国際大会に出場予定だったが、9月に右足首を捻挫。10月の検査で骨に異常が見つかり、内視鏡の手術を行った。現在も回復途上だ。12月は世界選手権の出場を取り止め、この大会を復帰戦に選んだ。会場は、五輪と同じ武蔵野の森総合スポーツプラザ。しかし、奥原は「パリに向けたスタートラインに立てたかというと、全然、そうではない」と話した。
東京五輪後、同種目では3学年下の山口茜(再春館製薬所)が世界選手権で優勝するなど国際大会で活躍を続けているが、奥原は焦らず、再挑戦のスタートラインを切るエネルギーを蓄えている段階だ。「今回は急ピッチで仕上げて体のダメージが正直あるので、もう一回、体を整えて、ゆっくりゆっくり、来年の大きな大会、日本で開催される世界選手権に向けて、そこでスタートラインに立てるようにしていきたいと思います」と来夏の大舞台をターゲットに掲げた。
復調途上でも全日本に出場したのは、プロ選手としての仕事であり、この大会に育てられた選手としての役割。そして成し遂げた貫録の3連覇は、五輪の金メダルを諦めていない奥原が見せたプライドと意地だった。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)