なぜゴルフのスロープレーがいけないのか 北田瑠衣の主張「日本ツアーでも罰金を」【THE ANSWER Best of 2021】
最大50万円超の罰金が科せられる米ツアー、日本ツアーでは?
プレーが速ければ速いほどいいというわけではありません。一打に集中していいプレーが見せられるのであればそれがいい。一方で時間をかければいいプレーができるわけでもないのが難しいところ。個々のルーティーンやペースもあります。
ただ、プレーが遅い選手はだいたい決まっているというのも事実としてあって、それを不満に思う選手がいることも感じています。スロープレーに対して、日本でももっと厳しくしてもいいと思っています。米ツアーでは1回目は警告、2回目からは高額な罰金(※)、が科せられます。実際に米ツアーに出場していた日本人選手が罰金を科せられたこともありました。
(※)米LPGAツアーでは今年からスロープレーの罰則を強化。1ストローク30秒以内を目安とし、パー4なら120秒(30秒×4)で自身のプレーを完結することがノルマに。また1ストローク70秒を超えると「警告」が出され、2回目の違反で1000ドル(約11万円)、複数回繰り返した場合は5000ドル(約55万円)もの罰金が科せられることも。JLPGAツアーでは1回目は警告、2回目は1罰打、3回目は2罰打、4回目で失格。
個人的には米ツアーと同じように、日本ツアーでも罰金を積極的に採用すべきと思っています。イエローカード(警告)は出ますが、なかなかペナルティを取らない。2罰打が科せられたのも過去に数人しかいません。どんどんペナルティを出したほうがいいと思っています。ゴルフはミスが出るスポーツですし、時間をかけて慎重に打ちたくなる気持ちもわかりますが、一緒に回るプレーヤーに迷惑をかけないことが大事。米ツアーと同じくらい厳しくしていいと思います。
そうなると大事になってくるのが明確な基準。プレー時間には前の組や、さらにその前の組も影響してきます。また悪天候、風、コンディションにも左右されます。どこからが計測の対象になってくるのか、明確に決める必要があります。不公平がないように、きっちり1打〇秒以内とか、どこから計測に入ってストップウォッチを押すのかとか、色々と考えていく必要はありますね。
勝負の世界ではありますが、優勝した選手やすごくいいプレーした選手に対しては心から称えたいものです。プレーファーストを大事にしてほしいのはプロだけではありません。アマチュアの方も一緒に回って楽しかったな、気持ちよくプレーできたなという思いは同伴競技者と共通したものですから。
■北田瑠衣 / THE ANSWERスペシャリスト
1981年12月25日生まれ、福岡市出身。10歳でゴルフを始め、福岡・沖学園高時代にナショナルチーム入り。2002年プロテストで一発合格し、03年にプロデビュー。04年はニチレイカップワールドレディスでツアー初優勝し、年間3勝で賞金ランク3位。05年には宮里藍さんとペアを組んだ第1回女子W杯(南アフリカ)で初代女王に。06年から10年連続でシード権を保持した。男女ツアーで活躍する佐藤賢和キャディーと17年に結婚し、2児のママとして子育てに奮闘中。
(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)