桃田賢斗、11か月ぶり公式戦で白星発進 事故から復活「帰ってきたな、という感じ」
冷静に自身の状態をチェック「どれくらいの力で、ギリギリのショットを狙えるか」
「正直、全日本総合の1回戦はすごく緊張するので、久しぶりの試合でもあったので、不安が大きかったですけど、意外と落ち着いてプレーできたのは、良かったです」と振り返った試合の時間は、36分。実力差を考えれば、もっと早く終えることもできたように思うが、隅々まで11か月ぶりの試合を味わっていた。
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確認していたのは、シャトルやコートの感覚だけではない。第2ゲームの中盤以降は「点差が開いたので、色々と試しながら。緊張して体が縮こまっていたので(点差に余裕が生まれて)力が解放されたときに、どれくらいの力で、ギリギリのショットを狙えるかを試していました」と冷静に自身の状態をチェック。終盤には、フットワークのスピードを上げた状態での動きも確認していた。
11か月ぶりの勝利、11か月ぶりの歓喜だが、桃田にとっては、まだ復活ロードの一歩目を踏み出しただけ。緊張によるミスも多かったという。スマッシュを打った場面での返球対応なども課題に挙げ「相手の力をうまく利用して、自分のパワーに変えるタイプですけど、今日は自分の打ちたいショットを打ってしまう場面が多くて、ちょっと相手の動きが見えていないなと感じました」と久々の実戦で、イメージと動きのわずかなズレなども感じ取り、向上するための課題の洗い出しに余念がなかった。
2021年1月にはタイで国際大会が連続して3大会行われる予定で、桃田も出場を予定している。日本一を決める大会を3連覇で飾り、国際舞台への復帰に勢いをつけたいところ。桃田は「目標は、もちろん優勝ですけど、先は見過ぎず、以前と同じく、一つ一つ、自分らしく、感謝の気持ちを忘れずにプレー出来たらいいかなと思います」と歩み始めた復活ロードを前に進んでいく姿勢を示した。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)