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【NBAバズ動画解剖】「ボルトみたいな歩幅」と驚愕 「幻惑ステップ→豪快ダンク」の規格外プレーを解剖

米プロバスケットボール(NBA)はプレーオフに突入し、連日、トップ選手たちが世界最高峰のワザで競演している。「THE ANSWER」はプレーオフ期間中の特別企画「NBAバズ動画解剖」を始動。プレーオフ期間中に飛び出し、SNS上で“バズったプレー”を元日本代表・渡邉拓馬氏が独自の視点で解説する。第2回はNBA公式インスタグラムが8月25日に投稿し、23万件を超える「いいね!」を集めた「ユーロステップ→豪快ダンク」だ。

バックスのヤニス・アデトクンボの「ユーロステップ→豪快ダンク」を渡邉拓馬氏が解説(写真はNBA公式インスタグラムのスクリーンショット)
バックスのヤニス・アデトクンボの「ユーロステップ→豪快ダンク」を渡邉拓馬氏が解説(写真はNBA公式インスタグラムのスクリーンショット)

「NBAバズ動画解剖」、プレーオフにSNS上で話題を呼んだ動画を渡邉拓馬が分析

 米プロバスケットボール(NBA)はプレーオフに突入し、連日、トップ選手たちが世界最高峰のワザで競演している。「THE ANSWER」はプレーオフ期間中の特別企画「NBAバズ動画解剖」を始動。プレーオフ期間中に飛び出し、SNS上で“バズったプレー”を元日本代表・渡邉拓馬氏が独自の視点で解説する。第2回はNBA公式インスタグラムが8月25日に投稿し、23万件を超える「いいね!」を集めた「ユーロステップ→豪快ダンク」だ。

【バズ動画はこんなプレー】東地区1回戦のバックス―マジック第4戦、第3クォーター(Q)残り8分。3ポイントライン中央付近でボールを持ったバックスのヤニス・アデトクンボが1on1から鋭いドライブで右側から抜く。そして、ゴール下のディフェンス2人に対し、ユーロステップで左に切り返して幻惑。最後はヘルプに来た3人目のさらに上から豪快にダンクを叩き込んだ。

 NBA公式YouTubeが公開したこの日のベストプレー10傑で1位に選出した規格外のダンク。渡邉氏がこのプレーに見たバズポイントは――。

 ◇ ◇ ◇

 ひと言で言うなら「考えられない」というプレーです。このステップからダンクに行くというのは……。

 まず、このポジションからディフェンスが密集する中でダンクに持っていくスペースを作り出した。それはアデトクンボが持つスキルもそうですが、一歩の大きさがとてつもない。ウサイン・ボルトみたいに歩幅が大きいと思います。

 それも身体能力があってこそ。ディフェンスが自分のサイドに来ると思わせるくらいのスピードで直進しながら、90度で切り返す。体は細いけど、脚力と瞬発力があり、歩幅も手も長さ。これでダンクに行けるスケールの大きさはとんでもないです。

 ただ、その裏にチームとして計算されたシステムが目につきました。これはアデトクンボに1on1にさせる、狙いが決められたナンバープレー。オフェンスの位置を見てほしいのですが、普通ならロペスというビッグマンが中にいるはずですが、彼はシュートが上手いので左アウトサイドでシューターの位置にいる。さらにウィングにもシューターを配置して、ゴール下にガードがいる。この形が、凄くキーになっています。

 こうなると、アデトクンボが突っ込んできた時に一番シュートの上手いミドルトンが右アウトサイドにフリーでいるので、ディフェンスがなかなかアデトクンボに寄れない。寄ったら、ミドルトンにパスが出るので、それを分かってマジックの守備陣は5人ともギリギリのところにいますが、完全には寄り切れない。裏を返せば、バックスの選手がそういうポジションを意図的に取っているということ。

 それを利用してアデトクンボは豪快に突っ込んだ。しかも、味方のガードがいる方向。ディフェンスもロールまで直進するような勢いにつられ、そちらに行くと気を抜いたようなところがあって、アデトクンボは隙を突いてユーロステップを使った。ディフェンスとしては、スカウティングで分かっていたと思うけど、止められないプレーだったと思います。

 ユーロステップ自体も巧みです。オフェンス側としてはバランスと脚力が必要になるプレー。この場面では自分のディフェンスを冷静に見て、これ以上行くとチャージングになりそうだというところで方向転換しています。トップスピードで行くと方向転換が難しいですが、動きをコントロールできる80%くらいのスピードとステップで行っている。ただ、アデトクンボの場合はステップに迫力があり、ディフェンスも不用意に動けない。

 バックスのシステムは凄くシンプルだけど、なかなか止められない。ボール保持者にしっかりと寄らなければいけない、でもヘルプディフェンスも一歩二歩、寄り方をミスすればシューターにボールが渡ってしまう。簡単そうに見えて、しっかりと考えられたシステム。

 そして、それを生かしたアデトクンボの身体能力はやはり見事と言うしかありません。

 ◇ ◇ ◇

 規格外のダンクを引き出したのは、アデトクンボの身体能力はもちろん、相手ディフェンスを後手に回らせたシステム。バックスはこの試合で121-106と圧勝した。プレーオフは地区準決勝でヒートに1勝4敗で敗れたものの、大黒柱のアデトクンボが来シーズンも、こんな規格外のプレーを見せてくれるのが楽しみだ。

(THE ANSWER編集部)

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