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「自分たちが弱くなったわけじゃない」 女王タカマツが闘った“不安”と“進化”

V前夜に交わした2人の会話…「うちら、何気に五輪後も頑張っているよね」

 韓国ペアのキム・ハナは、2012年に別のパートナーとスーパーシリーズのインドオープンを勝ったことのある実力派。現在は若手のコン・ヒヨンとペアを組んでいる。コン・ヒヨンの強打に怯むと、キム・ハナに決定打を打たれる。警戒すべき相手の動きを見て打ち分けることで、相手に試合のペースを渡さなかった。松友も「相手をどう動かしてスペースを作るかを意識している。まだまだだけど、少しずつできてきている。自分から見えている視界を言葉で表現するのは難しいけど、自分と相手との間合いを変えたり、相手同士の距離を寄せさせたり。以前よりずっと明確になって来ている」と自身が感じている成長の手応えを明かした。

 今季は、猛追する福島由紀、廣田彩花組(再春館製薬所)に2度連続で敗れ、世界選手権の成績でも下回った。周囲の目線では、下降線をたどっているのではないかという心配もないわけではなかった。

 しかし、高橋は「先週も風に苦しんでアウトになっているだけで、やっていることは間違っていないと再確認した。これまでに自分たちが負けた相手は、中国やデンマークの(強い)ペア。昨日も松友と『うちら、何気に五輪後も頑張っているよね、1回戦負けってインドネシアオープンだけじゃん』と話していた。(ここまでを振り返って)先週も準決勝までは進んだし、オーストラリアオープンは優勝。シンガポールオープンも決勝までは行ったし、アジア選手権は優勝した。(五輪女王として見るのではなく)普通だったらすごい成績だから、別に弱い相手に負けたわけではないし、自分たちが弱くなったわけじゃない。簡単に勝てるわけがないと吹っ切れて、頑張ろうと思った」と、高くなったハードルによって生まれて来る不安を払しょくしながら前進していることを明かした。

 頂点に立ってもなお、どん欲に進化を追い求めているタカマツペアは、やっぱり強い。日本でその強さを再証明した大会だった。

【了】

平野貴也●文 text by Takaya Hirano


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