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「半月板損傷=手術」じゃない “第3の治療”再生医療でスポーツ界の常識は変わるか

シーズン残り1か月で負傷すれば、シーズン後に手術を遅らせることも可能

「秋本さんの場合、動きを実践できないことは仕事ができないことを意味する。完全に治せなかったとしても、どうしても手術が今できないという人が、手術をするまでの期間を延ばすことはできる」と言い、こんな例を挙げた。

 Jリーガーがシーズン残り1か月で半月板を損傷した。しかし、優勝を争う時期。手術は避けられなくとも、PRP注射により一定の回復が見込めれば、試合に出ることはできる。結果として、シーズンを戦い抜いた後で手術を受け、来シーズンに備える。それは野球、バスケ、ラグビーなどのスポーツでも置き換えられることができるだろう。

「手術を避けられなくても、少しでも膝の状態を良くすることはできます。現状は保険が利かず、15万円という費用はネックになる。ただ、手術して3~6か月、試合に出られなければ、その期間の収入が得られない可能性を考えれば十分にペイできる、安いという見方もある。いろんなアスリートにとっては大きな可能性があると思います。何よりも痛みがなくなる。いつも『痛い、痛い』と言って日頃生活していたのが、楽になることはお金には代えられません。

 しかも、自分の体に傷をつけなくていいというメリットはあります。もちろん、効果が出ないケースもありますが、その善し悪しを考えても、アスリートの体にとってマイナスになることはないと、私は考えています。体を動かすことでご飯を食べている選手にとって死活問題。そこで治療の選択肢が1つ増えただけでも素晴らしいこと。こういう人には効く、効かないというデータがもっと集まれば、より治療の選択の確度を高めて提示できます」(松田院長)

 多競技に渡るトップアスリートを指導する秋本氏もその考えに同調する。「サッカー選手は不意な接触で故障しがち。野球も長距離打者は軸足を固定してフルスイングするので、痛めやすいと聞く。サッカー、野球の選手にとって需要は大きいと思いますし、それが一般の高校生、大学生にまで広がっていけば素晴らしい」と力説した。

「半月板損傷=手術」というイメージが定着していたスポーツ界。しかし、“第3の治療”の出現でアスリートを取り巻く環境は大きく変わるかもしれない。トップアスリートの膝も変えた手法はさらに脚光を浴びていきそうだ。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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