肘の怪我はどう予防すべき? 米国の医師が教えた、球児が知るべき3つのチェック法
野球人口の減少による球児への負担増大。球数制限の議論などが活発に行われるようになってきた今だからこそ、野球界は改めて選手の体と真剣に向き合う必要がある。いよいよ夏を迎え、高校球児たちは甲子園出場を目指して各地で地方大会に臨んでいる。
保護者向け連載「球児の未来の身体を考える」第3回、肘の怪我を予防する3つの方法
野球人口の減少による球児への負担増大。球数制限の議論などが活発に行われるようになってきた今だからこそ、野球界は改めて選手の体と真剣に向き合う必要がある。いよいよ夏を迎え、高校球児たちは甲子園出場を目指して各地で地方大会に臨んでいる。
セ・リーグで3連覇を成し遂げた広島東洋カープの石井雅也ヘッドトレーナーとともに、球児の体と真剣に向き合う「THE ANSWER」の連載「球児の未来の身体を考える」。第3回は「セルフチェック・肘関節の靱帯」編だ。肘や肩にかかる負担の増大を避けることができればベストだが、どうしても難しい場合がある。ならば、怪我に到達するまでの「傷病予防」が必要だ。
では自身の体の状態をどう判断すれば良いのだろうか。石井トレーナーは簡単に肘関節の靱帯をチェックする3つの方法を提示した。
◇ ◇ ◇
近年、少年野球や高校野球で投球数の問題が取り上げられることが多くなっています。この問題には様々な要素があり、それぞれの立場や状況で意見は違ってきます。しかし共通の認識として「傷病予防」は大きな課題です。これからの野球界を考えても絶対に必要なことです。
私が2008年にロサンゼルスの病院で“カーラン・ジョーブ・クリニック”で肘関節の術後リハビリを見学していた際に、当時の主治医であるヨーカム医師から、肘関節の傷害で内側側副靭帯損傷(この部分の靭帯を損傷すると程度にもよるが、肘の内側の靭帯が機能しないため投球困難となりトミー・ジョン手術などの靭帯再建手術行う必要がある)を見分ける簡易方法を3つ教わりました。これは今の現場でも有用な判断基準になるので、3つの中で1つでも該当したら必ず医師の診察を受けることを勧めます。
check1:投球側(投げる側)の手でジャンケンのチョキの形にする。人差し指と中指を合わせてから2本の指で後頭部を押さえる。この時に肘の内側に痛みや鈍痛、違和感がある(症状あり)。
check2:投球側の親指と人差し指を合わせて「OK」サインを作る。中指を投球側の耳の付け根の下あたりに当て、手のひらを上に向けながら肘を上げていく。親指と人差し指で作ったリングが、親指が上になるようにしながら、投球側の目でリングを覗けるまで肘を上に上げていく。この時に肘の内側に痛みや鈍痛、違和感がある(症状あり)。