今スポーツ界で注目されるのは「ビタミンD」 国内トップバスケチーム関係者が学んだ最新栄養学
去る3月3日、国内のトップバスケットボールチームの関係者らを対象とした、栄養セミナー「アスリートのためのコンディショニングセミナー」(主催:大塚製薬)がオンラインで開催された。
大塚製薬が栄養セミナーを開催
去る3月3日、国内のトップバスケットボールチームの関係者らを対象とした、栄養セミナー「アスリートのためのコンディショニングセミナー」(主催:大塚製薬)がオンラインで開催された。
セミナーの柱はシーズン終盤まで乗り切るリカバリーのための食事と栄養管理。バスケットボールの競技特性から、選手に必要な栄養素と具体的な食事の摂り方について、講師である公認スポーツ栄養士の橋本玲子氏が60分間、講演した。
バスケットボールの競技特性は、ジャンプ、スプリント、方向転換などの高強度の無酸素運動と有酸素運動を、間欠的に繰り返す点。パフォーマンスの低下を防ぎ、リカバリーを成功させる重要なキーワードとして、Re-plenish(補充)、Re-pair(修復)、Re-hydrate(水分補給)という「3つのR」を挙げた。
「バスケの場合、2日間の連戦も少なくないため、早期回復に重点を置きたい。そのためには、試合後のグリコーゲンの回復と筋肉の修復に向け、糖質とたんぱく質を速やかに補充し、水分を補給することがポイント。これらを徹底して行うチーム、選手がシーズンを通してコンディションを維持できるのではないか」(橋本氏)
練習中や試合中の水分補給の目安は体重1kgの減少につき、同量もしくは1.5倍程度。選手は適切な水分補給のために、日頃から練習前と練習後の体重差を把握していなければならない、と言う。また、疲労からの回復をスムーズに行うためには、日々、十分なエネルギー量を食事から摂ることが第一。バスケットボール選手の場合、平均的な体形の選手でも1日約4500kcalの食事が必要だが「朝昼晩の3食だけではなかなか摂り切れないのが現実」(橋本氏)。
「エネルギー量が足りなければ、当然、パワーを発揮できない、疲れがなかなか取れないということにつながる。そこで大事になるのが補食。すでに、プロテインを飲んだりおにぎりを食べたりはしていると思うが、1日1000kcalは補食を摂りたい。補食を計画的に摂れるかどうかで筋肉量や体重も変わる」(橋本氏)
特に日本のスポーツ栄養の現場では、体脂肪が増えることを気にして主食の量が少ない選手が目立つという。しかし、主食が足りなければ筋肉が分解されるうえ、筋持久力や集中力の低下、ひいては運動パフォーマンスの低下につながる。橋本氏は「タンパク質やプロテインドリンクばかりを意識して摂るのではなく、まずはご飯、パスタといった主食を摂ることが大事で必要なエネルギーを食事から確保することが最初のステップになる」と語った。
近年、注目されている栄養素は「ビタミンD」
セミナー中盤には、事前アンケート時に橋本氏へ聞きたいこととして複数の方より質問があった外食時のポイントを中心にレクチャー。「食事は外食やコンビニ食で済ます」という選手も意外と多いのが現状。そういう選手には、カロリーだけでなく脂質量を必ずチェックするよう習慣づけたい、と橋本氏。
「特に、練習前後に食事を摂ると胃に負担を感じる、体脂肪率を増やしたくない選手はここがポイントになる。また、ほとんどの外食のチェーン店は、栄養成分表示を公開しているので、糖質量、脂質量をチェックしてほしい。1回、2回チェックすれば頭に入るので、自分で体重コントロール、コンディショニングを進めるうえで、必ず役に立つ」(橋本氏)
セミナーの最後は、近年、アスリートのコンディショニングによいと注目されている栄養素として、ビタミンDにフォーカス。
「これまでビタミンDはカルシウムの吸収を助けるのが主な役割と思われていたが、免疫機能や、筋疲労の回復にも関与しているという報告もある。ビタミンDは食品から摂りにくく、また日光、紫外線を浴びると体内で合成される栄養素のため、多くの時間を体育館で過ごすバスケットボール選手は不足しやすいと想定される。アスリートの1日のビタミンDの必要量は、現時点では明らかではないが、不足すると色々な影響が出る」と注意を促した。
試合当日のリカバリーの効果を充分に得るためには、日々の食生活が重要。試合前後のみ食事を変えてもリカバリーの効果は得られない、と橋本氏。講演の最後に、「トップアスリートで長く現役生活を続ける選手たちは、当たり前のことを毎日続けている。できることから一つひとつ改善してほしい」という言葉を参加者に送り、セミナーは終了した。
PR:大塚製薬株式会社
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(THE ANSWER編集部)