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気仙沼で成果発表イベント開催、2017年からバスケットボールを通じて交流

三陸海岸の港町、宮城県気仙沼で少しだけ遅い“卒業式”が開催された。5月21日、ケー・ウエーブこと気仙沼市総合体育館で行われたのは「東北『夢』応援プログラム」の成果発表イベント。バスケットボール元日本代表・渡邉拓馬氏が昨秋から約半年間、オンラインで遠隔指導してきた気仙沼バスケットボール少年団の子どもたちの成長を直接その目に焼き付けた。

「東北『夢』応援プログラム」最後の成果発表イベントに渡邉拓馬氏が登場【写真:村上正広】
「東北『夢』応援プログラム」最後の成果発表イベントに渡邉拓馬氏が登場【写真:村上正広】

渡邉拓馬氏が「東北『夢』応援」最後のイベントで伝えた言葉 「何事も楽しもう」

 三陸海岸の港町、宮城県気仙沼で少しだけ遅い“卒業式”が開催された。5月21日、ケー・ウエーブこと気仙沼市総合体育館で行われたのは「東北『夢』応援プログラム」の成果発表イベント。バスケットボール元日本代表・渡邉拓馬氏が昨秋から約半年間、オンラインで遠隔指導してきた気仙沼バスケットボール少年団の子どもたちの成長を直接その目に焼き付けた。

 Bリーグ・京都ハンナリーズでゼネラルマネージャーを務める渡邉氏は、公益財団法人東日本大震災復興支援財団が立ち上げた「東北『夢』応援プログラム」で2017年から「夢応援マイスター」を務め、故郷の福島をはじめとする東北各地で子どもたちが夢や目標を達成するサポートを続けてきた。気仙沼では2021年から活動を始め、昨秋からスタートした半年間のプログラムには15人の子どもたちが参加。「夢宣言イベント」で決めた目標に向かって、遠隔指導ツールを使いながら練習を積み重ねてきた。

 この日は子どもたちが半年間の成長を披露する「成果発表イベント」を開催。1月の「中間発表イベント」以来の対面となる渡邉氏を、子どもたちは喜びいっぱいの笑顔で迎えた。まず、成果発表の前に行われたのが、渡邉氏が直接指導するクリニックだ。プログラムに参加する子どもたち9人の他に、当日参加の子どもたちも加わり、約20名が元気にコートを駆け回った。

子どもたちを指導した渡邉氏【写真:村上正広】
子どもたちを指導した渡邉氏【写真:村上正広】

 クリニックでは1対1や3対3でのスキル練習を行ったほか、5分間のミニゲームを実施。上手くいかないことや失敗することがあっても、子どもたちにはバスケットボールを楽しむ気持ちを失ってほしくないと願う渡邉氏らしく、単なるスキル練習ではなく、遊びやゲーム感覚を取り入れたメニューを提供。約1時間半のクリニックでは、子どもたちの元気な掛け声や笑顔が絶えることなく続いた。

 ミニゲームをする間、渡邉氏はコートサイドからプログラムに参加する子どもたちのパフォーマンスをチェック。それぞれがこの半年間で見せた成長の大きさに目を細めた。

 クリニックが終了すると、いよいよ成果発表の時間だ。この日出席したプログラム参加者の9人は「夢達成ノート」を広げて、振り返りページに自己評価を記入。「うまくできるようになったこと」「まだうまくできていないこと」「半年間の感想」などを書き込んだ内容を、名前を呼ばれた順に一人ひとり、全員の前で発表した。

渡邉氏子どもたち全員にメッセージを送った【写真:村上正広】
渡邉氏子どもたち全員にメッセージを送った【写真:村上正広】

渡邉氏が子どもたちと保護者に贈った「楽しもう」の言葉

 4月から中学生になった畠山尊くんは、目標とした県大会での上位進出は叶わなかったものの、「スリーポイントシュートが少し入るようになってきた」と成長を報告。ディフェンスにはまだ課題があると感じているそうで、目標達成度は5点満点のうち2点と辛口採点だった。

 対照的だったのは、同じく中学1年生となった奥原碧くんだ。半年前に掲げた「バスケを少しでも上達させる」という目標は「できたと思います」と達成。「ミドルシュートを上達させたい」と新たな目標を宣言した上で、「約束を達成することができたので(目標達成度は)5点です!」と胸を張った。

 半年前に「基礎をしっかりして中学でも使えるプレーをしたい」と約束した加藤梨愛さんは、「レイアップ(シュート)が入るようになりました」と成長を実感する。「この活動を通してたくさんのことが身に付いて良かった」と話し、目標達成度は3点とした。中学1年生になった今、「シュートフォームをきれいにして、入る確率を上げたいです」と新たな目標に向かって歩み出している。

 子どもたちの成果発表に耳を傾け、一人ひとりに修了証を手渡した渡邉氏は最後、参加した子どもたち全員に語りかけるようにメッセージを送った。

約7年の「東北『夢』応援プログラム」は今回のイベントで幕を閉じた【写真:村上正広】
約7年の「東北『夢』応援プログラム」は今回のイベントで幕を閉じた【写真:村上正広】

「2年間ありがとうございました。このプログラムは今回が最後。色々と思い入れはありますが、最後に気仙沼でみんなと一緒にこういう経験ができたのは良かったと思います。楽しくできたと言ってくれたのが、うれしかったです。

 これからバスケットボールを続ける人もいれば、違う道に行く人もいる。まだまだ人生は続いていくわけですが、やはり楽しいことを見つけて日々過ごしていくことが、僕たちにとってキーだと思う。実際には楽しいことだけではありませんが、何か楽しいことを見つける行動のきっかけや向き合い方が、今回のプログラムを通じて子どもたちや保護者の皆さんにも伝わっていればいいかなと思います。

 楽しさを自分で見つけようとする人としない人では、その先の将来が全然違ってくると思います。小さなことにも喜びや楽しみを感じ、そこからどんどん広げる経験をしてください。これからもみんなの活動や活躍を応援しています。お互い楽しみながら、これからの人生を歩んでいきましょう」

 渡邉氏の言葉通り、2016年3月に立ち上がった「東北『夢』応援プログラム」は今回の成果発表イベントをもって、全てのプログラムが終了を迎えた。約7年にわたって繋いだ東北の子どもたちとアスリートたちの縁。それぞれ歩む人生が将来どこかで再び交差し、夢や目標に向かって励んだ時間に花を咲かせる日がくることを願いたい。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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