プロテニスプレーヤーの綿貫敬介が福島の少年少女を直接指導
プロテニスプレーヤーの綿貫敬介(明治安田生命)が10日、公益財団法人東日本大震災復興支援財団が立ち上げた「東北『夢』応援プログラム」の中間発表イベントに登場した。遠隔指導ツール「スマートコーチ」を活用し、遠隔指導をしてきた福島県いわき市の少年少女12人と直接交流。全国レベル、そして、世界に通じる第一歩としての「基礎」の重要性を改めて説いた。
生かされていたコロナ禍の遠隔指導 福島の子どもに伝えた現役プロテニス選手の言葉
プロテニスプレーヤーの綿貫敬介(明治安田生命)が10日、公益財団法人東日本大震災復興支援財団が立ち上げた「東北『夢』応援プログラム」の中間発表イベントに登場した。遠隔指導ツール「スマートコーチ」を活用し、遠隔指導をしてきた福島県いわき市の少年少女12人と直接交流。全国レベル、そして、世界に通じる第一歩としての「基礎」の重要性を改めて説いた。
福島県いわき市でテニスに励む子供たちに「夢応援マイスター」として遠隔指導を続けて、4年目を迎えた綿貫。新型コロナウイルス感染拡大の影響でなかなか実現しなかった直接指導がいわき市のテニスコート「ア・パース」で開催され、1年ぶりに生徒と再開した。
「今回のテーマは徹底的に基礎でした。テクニックの基礎を中心に指導しました。カラダの構造に逆らっていいショットは打てない。改めて基礎の大切さを見直してもらいたいということで、丁寧に指導しました」
綿貫はこう語った。オンライン上の動画を通じて繋がってきた師弟関係。コート上で実際に声をかけられることで、子供たちは一皮剥けるヒントを掴んでいった様子だった。
ラケットの面、スイングの起動、打点など細かい指導で、ショットの精度はみるみるうちに高まっていく。「ありがとうございます!」。生徒の声も弾み、快晴の中、福島のインドアコートで行われた2時間のレッスンはどんどん熱を帯びていった。
「10分、15分でも目に見えて上達していました。感覚的に掴んだ部分もあると思いますが、どの選手も今回のイベントで手応えを感じてもらえたようです。最初、ラケットにボールが当たらずに面もブレていた女子の生徒がいました。手だけで打とうとしていたフォームを修正すると、ショットに力が入りました。昨年から継続して参加をしてくれている生徒で、サーブがなかなか良くならなかったのですが、今日はびっくりするぐらい形になっていました。カラダ全体を使って効率的に打とうというのがテーマですが、指導する側も充実の1日でした」
遠隔指導の成果実感、綿貫「いいシステムだなと感じます」
プロテニスプレーヤーとしての活動と並行して、実弟の陽介の海外遠征にツアーコーチとしても同行している綿貫。スペインやアメリカからも画面を通じて、いわき市の子供たちと絆を深めてきたが、遠隔指導というプロセスは実際のコート上での指導の効果を格段に高めているという。
「子供たちにはスマートコーチを通じて、言葉ではずっと伝えてきています。その上で、実際に会った時により具体的に指導したことが浸透しているんだな、と感じます。経過をずっとみているので、生徒としてもアドバイスの復習や回収もしっかりできている。いいシステムだなと感じます」
綿貫はこう語った。今回の指導している生徒が4期生だが、卒業生の2人がインターハイに出場。綿貫との指導をきっかけに、全国レベルのタレントが輩出されている。イベント後、夢応援プログラムの卒業生にも指導する機会があったが、そこでも強調したのは基礎の重要性だった。
「しっかりとした基礎は成長につながります。そこを突き詰めると、全国、そして、世界につながっていきます。世界のトッププレイヤーでもダニール・メドベージェフ選手のように独特な打ち方をする選手はいますが、基本的にカラダの構造には逆らえない。
テイクバックやフォロースルーが変わっている人はいますが、打点、フットワークという基本はどの選手もしっかりと押さえています。卒業生に久々に教えましたが、伸びている。小学校から見ている子供もいる。遠く離れているのですが、絆を感じます。不思議とつながり続けている感覚があるんです」
綿貫は愛弟子の成長に嬉しそうに目を細めていた。
(THE ANSWER編集部)