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わが子にさせたいスポーツどう選べばいい? 競技選びと適性の見極めに親ができること

子どもの「好き」を尊重し、親は選択肢を提供する

【大切にしてあげたい「自分で選んだ」スポーツとの出合い】

 基礎運動とコーディネーションの能力を高めた上で、親はどのように適性の高い競技を見極めればいいのか。広瀬氏は「適性の見極めは非常に難しい」と語る。

「なぜなら、子どもの成長度合いや運動能力の成熟度には個人差があるからです。ある時点で能力が劣っていても、将来挽回する可能性は大いにあるし、逆もあり得る。また球技などの多くの競技には、大きく分けて技術と身体能力の二つの要素が必要で、身体能力も瞬発力や敏しょう性、持久力などのさまざまな要素がある。さらに、競技によってはポジションによる特性もある。多くの要素が絡む以上、幼少期に競技への適性を見極めるのは難しいと言わざるを得ません」

 ただし適性について、いくつか考えるべきポイントはあるようだ。<1>子どもの「好き」を尊重する <2>親の働きかけによって多くの選択肢を持たせる。この二つが、競技への適性を見極める上で大切だという。

「何かの能力を身につける上で重要なのは、長く続けること。そのために必要なのは『好き』という明確な内的動機。子どもの『好き』を尊重し、やりたいと思うことをさせてあげる。そして子ども自身がその競技を、最終的には『人に言われたからではなく、好きで選んだからやっている』と思えることが何より力になると思います。

 小さい頃から何かしらの英才教育を受けて活躍していた子どもが、ある時それをパタッとやめてしまうことってあります。こういったケースは、親が子どもの意思を尊重せず、特定の競技を無理矢理やらせていたことが理由になっている場合もあるようです。子どもに自我が芽生え、ふとやりたくないと思った時、自分の中に、続ける理由を見出せなくなってしまうのではないでしょうか」

【親は常に「アントラージュ」であるべき】

 子ども自身が好きであることに加え、重要なのが親のスタンス。親が子どもに対し、いかに多くの情報と選択肢を与えてあげられるかが大事だ。

「例えば東京2020オリンピック・パラリンピックの競技数は55。つまり、子どもにはそれぐらい多くの選択肢があることを、親はイメージしなくてはいけない。これらをすべて経験させるのは無理でしょうし、やったことのない競技を勧めるのは難しい。なぜなら、親自身が情報を持っていないからです。親が子どもにリアルに伝えられるのは、自分が経験したことだけですから。

 しかしそうなると、例えば親がサッカーしかしてこなかったら、子どもにもサッカーを、となり、選択の幅が狭くなる。自分自身に経験がなくても、まずはできる限り多くの情報を集め、多くの可能性を提示してあげる。そして、できる限り実際に体験させてあげられると良いと思います。

 親は子どもへの「◯◯提供者」です。提供するのは、競技についての情報だけではありません。指導者のもとへ通うための移動手段やお金、いいトレーニング環境、そして怪我をした時の優れた医療なども含みます。そういった提供者としての役割を担えているかを、まずは親が自身に問いかけること。親は常に『アントラージュ(※2)』の姿勢であるべきです」

 つまり好きなことを選ばせ、できる限り多様な経験をさせる。そして、可能性を試す機会を最大限に与えて、適性を見極めていけばいい、ということだ。しかし、例えば親の目から見て、ある競技に明らかに適性がありそうだが、子どもは別の競技が好きで、それはあまり適性がないように思える時、親は子どもにどう接するべきなのか。

「両方させればいいと思います。ひとつに絞る必要はまったくない。もし親が子どもの好きなことを無理矢理やめさせたら、子どもは親を『好きなものを奪う人』と考えて、信用しなくなるのではないでしょうか。そうなったら、それ以降のコミュニケーションが取りづらくなってしまう。

 だから、好きなことは積極的にさせてあげる。そしてほかにも向いていそうな競技があれば『こっちもよさそうだから、やってみたらどう?』と問いかけをしてあげる。もしかすると、好きになれるものがほかにもあるかもしれない。『こっちの方がプロになれる』ではなく『こっちの方が好きになれそうだ』という視点で、なるべく多くのものに触れさせてあげる。それが結局、適性のある競技に巡り合える可能性を高くするのだと思います」

 子どもがその競技を好きかどうか、すぐには分からないこともあるだろう。もしかすると、うまくプレーできることで好きになっていくかもしれない。最初はそれほど興味がなくても、やり続けて好きになることもあるだろう。だからこそ、できる限りたくさんのものに触れさせ、多様な選択肢を与える。そして本人がやると言ったことを応援する姿勢が、親の役割だろう。

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