熱戦甲子園の裏で…7日間の“夏の続き” プロ注目投手ら引退後の3年生集結、高校野球を「終わりにする」新たな選択肢

「4つの働き方」「親への感謝」キャリア教育で伝えたコト
くすぶっていた悔しい思いに区切りを付け、プレー以外の面で収穫を得た選手もいる。
与那覇寛大(宮古)は、その一人。沖縄大会では、初戦で沖縄工に2-12で五回コールド負け。「高校野球の最後は悔しい形で終わってしまいました」。力を出し切り、そして次の選択肢の幅を広げるため、沖縄本島と約300km離れた宮古島から参戦した。
先端ツールを通じて、初めて自身のバッティングを数値化した。7日間という短い期間で改善に取り組み、一日一日が濃密だった。最終戦を終え、会心の笑みを浮かべた。「これで、高校野球がいい形で終われたと思います」
夢は「野球を通じて世界で活躍できる人間になる」こと。プレーヤーとしてだけでなく、指導者や道具関係、会社の経営者などさまざま形を描く。ジャパンリーグでは多様な専門性を持つ運営スタッフとも出会うことができた。「この経験を生かし、将来は野球を通して人に貢献できる仕事に就きたいと思っています」と熱い思いを口にした。
夢中で駆け抜けた2年超の部活動を引退した後、「燃え尽き症候群」に陥ったり、進路選びで迷いや焦りを感じたりする高校3年生は多いだろう。その節目に野球を含めた幅広い選択肢を知り、人生のヒントを得られる場は貴重だ。
キャリア関連講義の講師を務めた、専門学校などを運営する三幸学園の小川大輔氏は「選手たちは多くの時間を野球に費やしてきたので、進路の視野が狭い学生は多くいます。だからこそ、このタイミングでどんな人生を送るかや、仕事を通して誰にどんな影響を与えたいのかなどを考えることは大きな意味があります。野球を一生懸命やれる子たちなので、ちゃんと自分と向き合えれば、将来も生き生きと働けるはずです」とキャリア教育の意義を語る。
講義では自己分析のほか、人生のステージに「4つの働き方」があることを紹介。以下の<1>から順に段階が上がっていくという考え方だ。
<1>ライスワーク(Rice Work)→お金を稼ぐ、生活をするために働く
<2>ライクワーク(Like Work)→好きなことを仕事にする
<3>ライフワーク(Life Work)→人生をかけた仕事に従事する
<4>ライトワーク(Light Work)→人や社会を輝かせる仕事に従事する
最終日には、観戦に来た親への感謝を手紙にしたためる時間を設けた。「両親に対する感謝の気持ちを表現することで、人生と向き合い、今後について考える上で見えてくるものがあると思っています」と小川氏。野球を続けるにせよ、新たな道へ進むにせよ、次のステージに踏み出す覚悟を決めるという意味では、いいきっかけになったはずだ。
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)










