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熱戦甲子園の裏で…7日間の“夏の続き” プロ注目投手ら引退後の3年生集結、高校野球を「終わりにする」新たな選択肢

ホームベースの後ろに設置された測定機器「TRACKMAN」【写真:長嶺真輝】
ホームベースの後ろに設置された測定機器「TRACKMAN」【写真:長嶺真輝】

充実のスキル支援体制…「知らない知識もあった」

 プロも受け入れるJWLの運営体制を踏襲しているため、レベルアップの支援は充実していた。

 試合の指揮や座学の講師、自主トレーニングのサポート役を担ったのは、元ポーランド代表監督の渡辺龍馬ヘッドコーディネーター、福岡ソフトバンクホークスで一軍投手コーチを務めた佐久本昌広コーディネーター、骨格改善トレーナーの鈴木善雅パフォーマンスコーディネーターなど、各分野の専門家たち。沖縄を拠点に野球界へのピラティス普及に努め、今春のセンバツに初出場したエナジックスポーツなどをサポートする上原綾乃氏の姿もあった。

 使用機材も先端ツールを扱う。バットのグリップエンドに装着することでスイングのスピードや軌道などを可視化できる「BLAST」、投打の球速、角度、回転数などを測定する「TRACKMAN」を導入し、試合や打席の度に実戦感覚と数字をすり合わせてプレーの改善につなげた。

 強豪私立だとしても、ここまでのサポート体制はめったにない。選手たちも充実した日々を過ごしたようだ。

 最終日にピラティスを初体験した身長189cmの本格派右腕・黒木は「より良い呼吸法や肩甲骨のストレッチの仕方を教えてもらいました。自分の知らない知識もあったので、投球の改善につながると思います」と手応えを感じた様子だった。

 最後の夏、帝京は東東京大会の準々決勝で岩倉に2-6で敗れ、14年ぶりの夏の甲子園出場という夢は潰えた。先発を務めた黒木は2回2/3を投げて被安打6の3失点。「思い通りに球をコントロールできず、自分のせいで負けてしまいました」と苦い表情を浮かべる。

 開催中の甲子園ではライバル校の友人たちが躍動している。「うれしい反面、やっぱり悔しい思いはあります」。目標はプロ入り。立ち止まっている暇はない。「大学進学や独立リーグなど、まだ進路は決まっていません。幅を広げるために参加しました」と沖縄へ飛んだ。「(甲子園でプレーしている)みんなは成長しているので、今回の経験を生かし、自分ももっと成長していきたいです」と前を向く。

 ただ一人の女子選手だった大里成海(福井工大福井)も「男子の球を打てる機会は全くないので、自分にとってプラスになりました」と満足げ。大学でも硬式野球を続ける。持ち味は長打力。「意識していなかった体の使い方を知れたりしたので、より高いレベルで生かしていきたいです」と次の舞台を見据えた。

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