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キャンプでも「1日7~8時間勉強」 日本唯一の“医師兼プロ野球選手”竹内奎人にしかできない二刀流

いつかは整形外科の医師に。竹内はそこで自身にしかできない形をイメージしている【撮影:羽鳥慶太】
いつかは整形外科の医師に。竹内はそこで自身にしかできない形をイメージしている【撮影:羽鳥慶太】

いつかは野球に恩返し…竹内にしかできない二刀流

 群馬大学では準硬式でプレーした。成人が金属バットを振り回す世界で、長打を許さないための慎重な投球が身についていた。ところがプロの打者は、そんな備えも軽々と超えてきた。「準硬式ではバットに当てさせない投球をしていましたし、普通にやっていれば打たれなかった。それがここでは際どい球は見極められる、甘く入れば打たれますし、決まったと思ったボールも当ててくる」。それであればと、当てられることを前提とした投球に切り替えた。

「バットに当てさせないじゃなく、打者の思うようにバットを振らせない。思い通りのバッティングをさせない。バットに当てさせた中で抑える。空振りを取るものではないという考え方をするようになりました」

 状況の変化を感じて“変身”できるのは、医師としての目があるからかもしれない。「解剖学や生理学の知識は、野球と結びつくところもあると思います。この動きをできればどうつながっていくかはわかりますし、怪我の予防についても」。自身の肉体には当然ながら敏感だ。

 今季は27試合で0勝6敗、防御率6.09。初勝利を挙げられずに終えた。いつかは整形外科の医師という道を歩き始めようと思っているが「来年まではチャレンジしようと決めています」と、当面はドラフト指名を目指してプレーを続けるつもりでいる。竹内にしか目指せない医師の形を、思い描いているからだ。

「今も各球団にはチームドクターがいますが、どこも非常勤です。チームに帯同して、技術的なコーチングもこなせるドクターなんていう形があってもいいのかなと、漠然とですが考えているんです」

 思い描く“二刀流”は竹内にしかできない。だからこそ野球をより高いレベルで経験したいという欲は強い。今季対戦した中で、プロの凄味を感じさせられた選手はいたかと聞くと、球界を代表する名前がポンポン上がる。

「ビシエド選手、中田翔選手(ともに中日)、佐藤輝明選手(阪神)ですかね……。打席での雰囲気がすごくて、どこに投げたらいいの? という感じでした。だからこそ12球団に行って、そういうレベルをもっともっと感じたいんです」。日本のプロ野球に名前を残す選手との対戦を、いつか医師として生かす。そんな夢に向かって邁進している。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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