[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

15歳から本場で「サッカー×英語」を学べる価値 帝京ロンドン学園で見つける世界へ通じる近道

20歳前後の若きフットボーラーが、続々と欧州に渡ってプレーするようになってきた時代。帝京大学系列校で1989年創立の帝京ロンドン学園高等部には、「国際的なサッカー人」の育成を目指すサッカーコースがある。「プレイヤー」「コーチング」「マネジメント」の3つのプログラムに分かれており、高校生年代でフットボールの母国イギリスで“本場”に触れ、英語力、国際交流を含めた教育によって人間力を高めることができるプログラムになっている。サッカーのみならず、グローバル化が進む国際社会で活躍できる人材を育んでいくことを旨とする。

FC東京の室屋成選手(右)が帝京ロンドン学園の三谷大輔氏(左)と高校生年代で海外へ渡る意義を語り合った
FC東京の室屋成選手(右)が帝京ロンドン学園の三谷大輔氏(左)と高校生年代で海外へ渡る意義を語り合った

ドイツで5年間プレー、FC東京・室屋成選手が見た「帝京ロンドン学園」の姿

 20歳前後の若きフットボーラーが、続々と欧州に渡ってプレーするようになってきた時代。帝京大学系列校で1989年創立の帝京ロンドン学園高等部には、「国際的なサッカー人」の育成を目指すサッカーコースがある。「プレイヤー」「コーチング」「マネジメント」の3つのプログラムに分かれており、高校生年代でフットボールの母国イギリスで“本場”に触れ、英語力、国際交流を含めた教育によって人間力を高めることができるプログラムになっている。サッカーのみならず、グローバル化が進む国際社会で活躍できる人材を育んでいくことを旨とする。

 学校法人帝京大学はFC東京のオフィシャルパートナーであり、両者は積極的に交流、意見交換を図っている。今回は帝京ロンドン学園高等部サッカーコース主任の三谷大輔氏と、ドイツで2020-21シーズンから5シーズンにわたってプレーし、2025年5月にFC東京へ復帰した室屋成選手による対談が実現。「若いうちに欧州で学ぶ意義」について語り合った。

 ◇ ◇ ◇

室屋「1989年創立ということは、自分が生まれる前から帝京ロンドン学園高等部はあったんですね。僕は大阪の中学から(2010年に)青森山田高に進学したのですが、それでも地元から離れて未知の場所に行く感覚でした。当時は高校で海外に行く選択肢があるなんて情報として持っていなかったし、常識でもなかった。今このように高校生年代で欧州に行ってサッカーができる選択肢があって、そういった情報をつかめる世の中だというのは、それだけ時代が変わってきたんだなと実感しています」

三谷「スマホで簡単に情報をキャッチでき、海外を身近に感じられるようになっている時代ですよね。社会の変化に合わせて、10代で海外に行く選手がかなり多くなってきているとも感じます。私も室屋選手と同じ大阪出身で同じ世代ですが、かつては国内のトップ選手が海外に行くというのがモデルケースでした。でも今は早くから欧州に出て、メジャーじゃないリーグからステップアップしていくパターンが増えていますよね」

ドイツで5年間プレーした室屋選手。移籍当初は語学の壁に苦労した
ドイツで5年間プレーした室屋選手。移籍当初は語学の壁に苦労した

室屋「海外でプレーしたいと思うようになったのはプロになってからでした。僕の世代だと20歳までに欧州に出たのは、おそらく南野拓実選手くらい。Jリーグで実力をつけたうえで行きたいと思って、26歳の時にドイツのハノーファーに移籍しました。ただサッカー選手としては(挑戦が)ちょっと遅かったですね。もしうまくいかなかったら欧州では生き残りにくくなるので。でも若いうちなら失敗しても全然やり直しが利く。もっと早く行っておけば、いろんな選択肢があったのかなという思いは振り返ってみるとすごくあります」

三谷「語学力はどうでした?」

室屋「欧州でのプレーを目指して英語を習って、自分なりに100%準備したつもりではあったんです。でも実際に行ってみたら、全然足りなかった。多少話せたとしてもちゃんとしたコミュニケーションが取り切れていない。特に監督とのコミュニケーションには苦労しましたね。チームの調子が良い時は起用してもらっても、うまくいかない時に真っ先に外されてしまう。というのも(コミュニケーションが取れていないと)戦術を理解していないとメディアにも伝えられてしまうので、そこがすごくもどかしかった。

 だから最初の1年間で必死に勉強して、監督に対しても言いたいことを言えるようになりました。そのうえで結果を出し続けていくことで、周りからもサポーターからもリスペクトを受けるようになって。1年間頑張ったのは頑張ったんですけど、サッカー選手としてはもったいない1年でもありました。だから若いうちに語学のベースをちゃんとつくって海外にチャレンジするのが望ましいなとは思います」

三谷「本校は当然ながら英語に触れる機会の多い環境です。サッカーコースは現地のアカデミー(United Select)と提携していますから、最大週3日の合同練習においては学んだ英語でコミュニケーションを取っていかなくてはなりません。かつそこで実力が認められれば、セミプロのチーム(Beaconsfield town FC)のU-18でプレーすることも可能になります。そうなると、ほぼ現地の選手ばかりになるので語学力も伸びていく。環境が語学力を上げていく、向上心を上げていくというのは生徒の様子を見ていても感じます。現地で試合に出場しながら、日本の高校卒業資格を取得できるというのが本校サッカーコースの大きな特徴になります」

欧州で生活をすることで「考え方の幅」が広がった

欧州で生活をしたことで日本とは異なる文化や価値観を肌で感じたという
欧州で生活をしたことで日本とは異なる文化や価値観を肌で感じたという

室屋「サッカーコースにはもう一つ、マネジメントのプログラムもありますが、ここではどういったことを学べるんですか?」

三谷「イギリスのサッカー文化をはじめ、プレミアリーグのクラブによって運営、育成も違っているので、実際にロンドンにあるアーセナル、チェルシー、トッテナムといったクラブのツアーに参加してビジネスモデルを学びます。ロッカールームやピッチサイドにも足を踏み入れたりして、いろんな体験をしてもらっています。

 室屋選手はドイツに住んでみて、欧州のサッカー文化をどのように感じましたか?」

室屋「生活の一部ですよね。おじいちゃん、おばあちゃんまでスタジアムに足を運んでくれるし、スーパーマーケットに行ったらレジ打ちの人から『先週の試合は良かったよ』とか『もっと頑張って』とか、よく声をかけられました。

 欧州で生活してみて、日本との文化や考え方の違いを感じたこともあります。良い思い出もあれば、嫌だったなということも、もちろんありました。選手たちはみんな自己主張が強いし、それぞれいろんな考えを持っているんだなってこともよく理解できました。ドイツに住んでみなければ分からなかったので、経験できて本当に良かったです」

三谷「本校に関して言うと、15歳の時点で海外に行って生活するというのは保護者の方、生徒の皆さんともに多少なりとも不安はあるはずです。日本の学校が海外にあるという環境ですから、サッカーコースでも私を含めて日本の教員が入っているので基本的にセーフティネットが働いています。安全面を確保したうえで、欧州の文化にタッチできるようになっているのでそこから徐々に慣れていってもらえばいいという考え方です」

室屋「良いこともそうじゃないことも経験できるのが大きいと思うんです。どう感じていくかで、自分にも変化が起きますから。僕の場合はドイツの良いところだけじゃなくて、逆に日本の良いところもすごく見えましたね。欧州で生活したことによって考え方の幅が広がった気はしています」

三谷「そうですよね。日本と海外のどちらがいいということではなく、いろんな見方が持てるような目を養っていくことが本校の役目かなとも感じます。若いうちに経験しておくことで、その後の人生を豊かにしていける手助けになれば、と。室屋選手のようにプロサッカー選手になれる人はやっぱりひと握りですし、もしなれなくても、サッカーやスポーツにどう携わるか、自分にはほかにどんな道があるか、そういった引き出しを増やしてあげればいいなとも思っています」

行ってみなければ分からないことはたくさんある

日本の若手の才能を認める室屋選手。チャンスがあるなら海外へ行くべきとエールを送った
日本の若手の才能を認める室屋選手。チャンスがあるなら海外へ行くべきとエールを送った

室屋「でも今の若い子たちのサッカーのレベルは本当に上がっています。僕の場合はJリーグでベストイレブンに入っても不安を持ちながらドイツに行ったんですが、プレーしてみたら全然通用するなって感じました。日本にいる段階で不安に思う必要もなかったな、とも。今の若い選手たちがどんどん海外に行っている好影響もあって、みんなサッカーそのものについては不安なんて持たなくていいだろうし、帝京ロンドン学園の生徒さんもきっとそうじゃないですか?」

三谷「まさにそうですね。足もとの技術を含め、日本人選手が評価されてきているなというのは現地にいても感じます。あとは自己主張の部分とか、室屋選手が先ほど言ったような文化、考え方の違いをどう埋めていくか。立ち振る舞いであったり、監督とのコミュニケーションであったり、もしくは生活面であったりというところは、やっぱり日本にいては経験できないことなので、若いうちに海外に出て経験しておくことはプラスになると考えています」

生徒一人ひとりの多彩な可能性を引き出すのが帝京ロンドン学園の役目と語る三谷氏
生徒一人ひとりの多彩な可能性を引き出すのが帝京ロンドン学園の役目と語る三谷氏

室屋「僕らの高校生年代の頃に比べると、サッカーをやるにあたって今の時代は本当にうらやましいなと思います。これは帝京ロンドン学園のことだけではなくて、若いうちは失敗してもそれがいい経験になるので、海外に行くチャンスがあるなら思い切って行ってみるのもいいとは思うんです。もしダメだったら、また違うことを考えればいいし、行ってみないと分からないことってたくさんありますから。やってみたいことが目の前にあって、行けるチャンスもあるのに飛び込まないのは、ちょっともったいないかなとも感じます」

三谷「室屋選手には大変いい話を聞かせていただきました。生徒たちにも伝えたいと思います。本日はありがとうございました」

ロンドン近郊に広大なキャンパスを持つ帝京ロンドン学園。実践的な英語教育に定評がある【写真提供:帝京ロンドン学園】
ロンドン近郊に広大なキャンパスを持つ帝京ロンドン学園。実践的な英語教育に定評がある【写真提供:帝京ロンドン学園】

■室屋 成 / Sei Muroya
1994年4月5日生まれ、大阪府出身。地元を離れて進学した青森山田高でサイドバックに転向して頭角を現すと、明治大在学中の2016年にFC東京でプロデビューを果たす。U-23日本代表として同年のリオデジャネイロ五輪に出場。翌17年に日本代表デビュー、19年にはJリーグベストイレブンに選出される活躍を見せた。20年8月にドイツ2部ハノーファーへ完全移籍。5シーズンでリーグ戦通算142試合5得点の成績を残し、25年5月にFC東京へ復帰した。

■帝京ロンドン学園高等部
ロンドン北西部バッキンガムシャー州に1989年に設立された、日本の高等学校に相当する在外教育施設。緑あふれる広大な敷地には完全個室の学生寮などさまざまな施設を有しており、入学時にグローバルスタディーズコース、サッカーコース、アートコースから選択できる。実践的な英語教育に定評があり、日本の高校と同等の卒業資格を得ることが可能。2022年に私立在外教育施設として初の国際バカロレア(IB)ディプロマプログラム認定校となった。サッカーコースは、プレイヤーとしての成長を軸に、コーチングおよびマネジメント分野においてもイギリスならではの経験を取り入れた多角的な学びを通じ、国際的に活躍できる「サッカー人」の育成を目指している。
[帝京ロンドン学園高等部公式サイト]https://teikyo-london-uk.teikyo.jp/

(THE ANSWER編集部)