なぜ“西の強豪”から苦境の名門へ? 29歳PGの心を動かした「君に足りないのは…」のラブコール
高校3年時の痛恨のミスを「財産」にするために
津山は福岡大学附属大濠高校の3年時のウインターカップで、痛恨の失敗を経験している。
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インターハイ、国体、ウインターカップのすべてを制する「高校3冠」に王手がかかった決勝の明成(現・仙台大学附属明成)高校戦、2点差を追いかける残り34秒からのラストオフェンス。津山がピック&ロールから同点ないし逆転のシュートを狙った残り4.2秒、審判の笛が鳴った。スクリーン役の選手が不当に動く「ムービングピック」のファウルを宣告された。
「ピックを呼んだ時に、(八村)塁のディフェンスがちょっと遅れている感じがしたんですよ。それで『これはシュートを打てる』と思って、ちょっと焦ってピックを使ってしまった。ファウルを吹かれたのはピックにきた選手でしたが、あれはピックをしっかり使えなかった僕のミスです」
大会が終わり、故郷の沖縄でプロキャリアをスタートさせてからも、このプレーはたびたび話題に挙がった。「あれがなかったら結果は違っていたかもね」という何気ない言葉に胸を痛めていた津山を救ったのは、当時チームメートだった岸本隆一の言葉だった。
「『あのプレーがあるから自分のキャリアがうまくいっている』って言えるようになればいいんじゃない? 尚大の財産になればいいよね」
“誰か”でなく“自分”が試合を支配し、勝負を決める。プロになるために必死だったあの頃を、再び取り戻すため。運命を託され、それを果たせなかった後悔をプロバスケットボール選手としての得がたい宝にするため――。今日も津山はブレイブレッドのユニフォームをまとい、戦い続ける。
■津山尚大 / Shota Tsuyama
1996年4月16日生まれ、沖縄県出身。180センチ・85キロ。福岡大学附属大濠高校3年時にインターハイと国体の2冠を達成し、アーリーエントリー制度を活用して当時bjリーグの琉球ゴールデンキングスに加入する。ライジングゼファー福岡を経て、2019年10月にはNBLカナダ所属のハリファックス・ハリケーンズと契約。帰国後はアルバルク東京、三遠ネオフェニックス、島根スサノオマジックを渡り歩き、今季から川崎ブレイブサンダースの一員に。開幕から主力の1人として存在感を見せている。
(青木 美帆 / Miho Aoki)
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