なぜ“西の強豪”から苦境の名門へ? 29歳PGの心を動かした「君に足りないのは…」のラブコール
開幕から苦しい戦いを強いられているバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースだが、今季の新加入選手として主力の一員となっているのが29歳の津山尚大だ。名門高校で活躍してその名を全国に轟かせ、卒業とともにプロの世界へ。短期間ながら海外挑戦も経験するなど、これまで7クラブを渡り歩いてきた津山のキャリアは起伏に富んでいる。インタビュー後編では今季開幕前、西地区の強豪から苦境にあえぐ名門クラブへの移籍を決断した理由を明かした。(取材・文=青木 美帆)

川崎ブレイブサンダース・津山尚大インタビュー後編
開幕から苦しい戦いを強いられているバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースだが、今季の新加入選手として主力の一員となっているのが29歳の津山尚大だ。名門高校で活躍してその名を全国に轟かせ、卒業とともにプロの世界へ。短期間ながら海外挑戦も経験するなど、これまで7クラブを渡り歩いてきた津山のキャリアは起伏に富んでいる。インタビュー後編では今季開幕前、西地区の強豪から苦境にあえぐ名門クラブへの移籍を決断した理由を明かした。(取材・文=青木 美帆)
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津山は今シーズン、3季所属した島根スサノオマジックを離れ、川崎ブレイブサンダースに移籍した。西地区の強豪として確固たる地位を築いたクラブに残留するという選択肢もあったなか、あえて再建に苦しむ川崎を選んだのには、大きな理由がある。
「久しぶりに『ここなら成長できる』と感じさせてもらったから川崎に来ました。移籍のオファーをする人は大抵、その選手のいいところしか話さないものなんですが、北さん(北卓也GM)は『君に足りないのはこれだから、川崎でそれができるようになってほしい』と言ってくれて、それが自分自身で感じている課題と一致していたんです」
島根には安藤誓哉(現・横浜ビー・コルセアーズ)という絶対的なガードと、世界レベルのスキルとインテリジェンスを持つニック・ケイがいた。過去にはペリン・ビュフォードというとんでもない個の力を持ったスコアラーもいた。彼らに助けられながらプレーしていた津山は、プロ10年の節目、20代最後の年となる今シーズンに、選手としてより独立した存在を目指そうとしている。
「自分の課題は勝たせるポイントガードになること。北さんも『安藤選手がいない状況でメインガードとしてやれることが今後のキャリアに大事になってくるんじゃないか』と言ってくれました。具体的なところでは『コンスタントに2桁得点を取ってほしい』とも言われましたね」
開幕から約2か月が経った本稿執筆時、チームは昨シーズンに引き続き苦戦が続いている。津山自身も好調とは言いがたい日々が続いており、1つの指標に掲げたコンスタントな2桁得点を達成したのは18試合中6試合。時に、心ない言葉に遭遇することもある。
しかし津山は、自身が果たすべき役割に静かに向き合い続けている。
「昔は雑音に気を取られることが多かったのですが、意識しなくなりましたね。自分が今やるべきことだけを意識して、淡々とプレーできるようになりました。確かに結果はついてきていないのですが、僕はこのチームに入った時から、どんな状況になろうと最後まで戦う姿勢をチームにもファンの人たちにも見せたいと思っています」
毎試合毎試合、どんな状況であれ、最後まで正しい選択をしてシュートを打ち続け、チームを引っ張り続ける。コート上ではもちろん、ベンチやロッカールームなど様々なところでチームを牽引し、状況を良い方向に変えようと行動している。
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