「バスケが怖い」と思ったプロ2季目 高卒から苦闘10年、後輩へ伝える「自分に勘違いして」の真意
開幕から苦しい戦いを強いられているバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースだが、今季の新加入選手として主力の一員となっているのが29歳の津山尚大だ。名門高校で活躍してその名を全国に轟かせ、卒業とともにプロの世界へ。短期間ながら海外挑戦も経験するなど、これまで7クラブを渡り歩いてきた津山のキャリアは起伏に富んでいる。インタビュー中編では、期待の高卒ルーキーとして加入した琉球ゴールデンキングスでの挫折と、そこから這い上がった10年を振り返る。(取材・文=青木 美帆)

川崎ブレイブサンダース・津山尚大インタビュー中編
開幕から苦しい戦いを強いられているバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースだが、今季の新加入選手として主力の一員となっているのが29歳の津山尚大だ。名門高校で活躍してその名を全国に轟かせ、卒業とともにプロの世界へ。短期間ながら海外挑戦も経験するなど、これまで7クラブを渡り歩いてきた津山のキャリアは起伏に富んでいる。インタビュー中編では、期待の高卒ルーキーとして加入した琉球ゴールデンキングスでの挫折と、そこから這い上がった10年を振り返る。(取材・文=青木 美帆)
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高校を卒業したら地元・沖縄の琉球ゴールデンキングスでプレーする――。
津山尚大が幼い頃から抱いていた夢が現実となったのは、福岡大学附属大濠高校3年生の冬休み。高校最後のウインターカップを準優勝で終え、年末年始を沖縄で過ごしていた時だった。
チーム関係者から「話がある」という連絡が届いた時の胸の高鳴りを、津山は今でも忘れられないという。母と長兄に付き添われて事務所に出向き、正式なオファーを受け、契約書にサインをした。2015年1月21日にチームからアーリーエントリー制度を活用しての正式加入が発表され、翌日に記者会見を実施。チーム初となる地元出身高卒ルーキーの誕生に、沖縄は大いに湧いた。
当然、自信はあった。頭の中は自身のプレーでチームを勝利に導き、地元のファンを喜ばせるイメージで満ちていた。しかし、現実は甘くなかった。
「最初のシーズンは3か月しかなかったので『活躍できなくても仕方がない』と思っていました。次のシーズンはbjリーグの最後のシーズンということもあって、『全試合スタメンで出てやる』と気合いを入れて挑んだんですけど……なかなか難しかったですね」
先発出場は初年度の「3」から3試合しか増えなかった。出場時間や各種個人成績も微増にとどまった。「今思えば当たり前なんですよね」と津山は回顧する。
「実力が足りていなかったし、『1対1がうまければいい』『1対1は先輩たちより絶対に俺のほうが強い』みたいなことばかり考えながらプレーしていましたから。5対5のシステムを覚えて、その中で自分の良さを発揮していくのがプロ、という考え方が足りなかったと思います」
同ポジションの先輩である石崎巧や岸本隆一から、プレータイムを奪える自信はなかった。1つのミスでプレータイムがなくなるという経験を初めてし、バスケをすることが「怖い」と思った。「頑張ってね」。「試合に行くね」。加入当時は大きな励みだった友達や知人からの言葉が重荷に変わった。
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