「母に楽をさせたい」 高卒プロへ突き進んだバスケ少年、周囲は反対も…唯一支持した恩師の言葉
インターハイ優勝後に流した涙の意味
今だから言える”しくじり”もあった。津山は「そうそう……」と語り出した。
「高3のインターハイ予選の前に、トップリーグでプレーするOBの選手たちが練習試合の相手をしに来てくれたんです。僕は大塚勇人さん(現・バンビシャス奈良)とマッチアップするのがすごく楽しみだったんですけど、試合に出してもらえなかったんです。今考えれば片峯先生は、『彼のプレーを見て足りないものを学びなさい』という意図でそうしたんだと思うんですが、当時の僕はそれに気づけずふてくされてしまって。学校を休んで、練習にも2日間くらい行きませんでした」
2年のインターハイはベスト4、ウインターカップは準優勝に終わった。入学時に定めた「日本一になってプロに行く」というミッションを達成するチャンスは、あと2回しかない。津山はすぐに考えを改めたが、県予選の序盤は先発から外れ、復帰を果たした決勝では2年ぶりに福岡第一高に敗れた。「先生やチームメートがショックを受けている顔を見て、改めて『僕がこんなことをやっていてはいけない』と思いましたし、『インターハイは絶対に優勝してやる』という気持ちがさらに高まりました」
8月7日、千葉県で行われたインターハイで、福大大濠高は28年ぶりの優勝を果たした。鬼気迫るプレーとリーダーシップでこれを牽引した津山は、決勝を終えた後も長らく泣いていた。そこにはチームの悲願に貢献した充実感と、「プロ」という大きな夢に向けた第一歩をクリアした喜びが凝縮されていた。
(中編へ続く)
■津山尚大 / Shota Tsuyama
1996年4月16日生まれ、沖縄県出身。180センチ・85キロ。福岡大学附属大濠高校3年時にインターハイと国体の2冠を達成し、アーリーエントリー制度を活用して当時bjリーグの琉球ゴールデンキングスに加入する。ライジングゼファー福岡を経て、2019年10月にはNBLカナダ所属のハリファックス・ハリケーンズと契約。帰国後はアルバルク東京、三遠ネオフェニックス、島根スサノオマジックを渡り歩き、今季から川崎ブレイブサンダースの一員に。開幕から主力の1人として存在感を見せている。
(青木 美帆 / Miho Aoki)
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