地方に「夢のアリーナ」を根付かせる活用術 負の遺産にさせない…沖縄バスケ界のユニークな有益モデルとは
学生バスケットボールの試合がプロさながらの熱気に包まれた。10月18、19の両日、沖縄サントリーアリーナで開催された「第4回沖縄アリーナカップ」のことだ。沖縄の小中高、社会人の県大会決勝をまとめて行うユニークな形式の大会である。特に中高の男女決勝が行われた2日目は、一日で6863人もの観客が来場。しかも、有料開催というから驚きだ。この数字は、同日に全国各地で行われたBリーグ1部(B1)のレギュラーシーズン13試合と照らし合わせても上から3番目の規模だった。開催の狙いや運営ノウハウ、イベント収益の使い道からは、地域創生への貢献が重要なテーマである「夢のアリーナ」の有益な活用術が垣間見える。

「アリーナで決勝に出たい」 目指すべき場としても“聖地”に
学生バスケットボールの試合がプロさながらの熱気に包まれた。10月18、19の両日、沖縄サントリーアリーナで開催された「第4回沖縄アリーナカップ」のことだ。沖縄の小中高、社会人の県大会決勝をまとめて行うユニークな形式の大会である。特に中高の男女決勝が行われた2日目は、一日で6863人もの観客が来場。しかも、有料開催というから驚きだ。この数字は、同日に全国各地で行われたBリーグ1部(B1)のレギュラーシーズン13試合と照らし合わせても上から3番目の規模だった。開催の狙いや運営ノウハウ、イベント収益の使い道からは、地域創生への貢献が重要なテーマである「夢のアリーナ」の有益な活用術が垣間見える。
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スポットライトに照らされた“プロの空間”で学生たちが躍動した。大型ビジョンにスコアが表示され、会場MCが得点者や交代選手をアナウンスする。ベンチ裏の大応援団も火花を散らし、アリーナ内は興奮の渦に包まれた。
初日はU12と社会人の決勝を行い、二日日にはより注目度の高いジュニアウインターカップ全国U15選手権大会、全国高校選手権大会(ウインターカップ)の決勝を実施した。初日も1616人が来場し、二日間を合わせた総来場者数は8479人に達した。
会場の沖縄サントリーアリーナは日本初の本格的バスケットボールアリーナとして2021年2月に竣工した多目的施設だ。那覇市に次いで県内2番目の人口規模を誇る本島中部の沖縄市が建設した。同市をホームタウンとするBリーグの強豪、琉球ゴールデンキングスのホームコートでもある。Bリーグが標榜する「夢のアリーナ」の先駆け的存在だ。
2023年にはFIBAワールドカップの予選ラウンドを行う会場の一つにもなった。世界的スター選手たちが足跡を刻み、さらに日本代表が48年ぶりに自力でオリンピック出場を決める歴史的な舞台に。開業からまだ5年も経っていないが、既に日本バスケットボール界の「聖地」の一つと言っても過言ではないだろう。
沖縄アリーナカップが始まったのは開業翌年の2022年のこと。3回目までは小中高の決勝カードのみだったが、そもそも、なぜ「夢のアリーナ」で学生の各カテゴリの大会をまとめて開くことになったのか。
大会主催者である沖縄県バスケットボール協会の日越延利会長が実現までのプロセスを振り返る。

「アリーナができるタイミングで沖縄市から『沖縄アリーナをバスケットボールの聖地にしたい』『何か工夫ができないか』と相談があり、沖縄の子どもたちに夢を持ってもらうため、開催に向けて動き出しました。ただ、メインのU15とU18の決勝はそれまで約1カ月間も開催時期がずれていて、さらに秋頃はBリーグのシーズンとも重なるため、何カ月も前に日程を確定しないといけませんでした。各校の先生らと調整し、アリーナ開業の2年目から始めることができました」
“観るため”に設計された沖縄サントリーアリーナは一般的な体育館とは照明の位置やリングへの距離感が異なるため、選手のパフォーマンスを担保するためにメインコートやサブアリーナで前日練習をする時間も確保する。「競技レベルを保つために絶対必要」(日越会長)という現場目線も、運営設計に反映されている。
日越会長は「今年で4回目の開催になり、学生たちがよく『アリーナで決勝に出たい』と話すようになってきました。将来プロ選手になれば、またこのアリーナでプレーすることができるという夢を持ってもらうこともできる。聖地にするという意味では大成功だと思います」と胸を張る。
実際、決勝戦の後には「こんなに大きな会場でやるのは初めて」「初めは緊張したけど、楽しんでプレーができました」などと高揚感を口にする選手が多い。そして、一様に屈託のない笑みを浮かべる。普段、琉球ホーム戦の客席で目を輝かせている選手も多いが、「憧れの場所」というだけでなく、「目指すべき場所」としても聖地になってきている証左だろう。
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