アメリカでも部活内いじめが起きていた 広陵野球部に類似、告発→批判受け自粛…巻き込まれる部員の現実
広陵野球部と3つの共通項 転校を決断した生徒も厳しい現実が…
アーサリン高校のアメリカンフットボール部は裁判に訴えられて、いじめを隠ぺいできなくなったのだか、広陵高校野球部の暴行事件とはいくつか共通している点も見てとれる。ひとつは、深刻ないじめがあっても、そのまま試合を行おうとしていたこと。ふたつめは、すぐに過去の別の事件が明らかになったことで、その運動部に暴行を黙認するカルチャーがあったのではと疑いを持たれたことである。3点目は、学校は外側からの批判の大きさによって、試合をしないという選択をせざるを得なかったということだ。さらに、真偽不明のさまざまな情報と意見がSNSで飛び交うことも共通していた。
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このアメリカンフットボール部は、残りのシーズンは試合を行わないという活動停止となったのだが、いじめや暴行に関与していない部員のプレーする権利はどうなるのだろうか。関与していないとする部員の親たちとコーチの1人が集会を開いて、救済措置を求めた。この集会を取材した地元の複数のニュース局の報道によると、ある母親は「うちの子どもはそもそも事件のあった合宿に参加していない。息子はプレーするチャンスを失い、大学のアメリカンフットボール部から奨学金をオファーされるチャンスを失った」と話したという。スポーツする権利だけでなく、大学進学という問題も絡む。
すでに転校した生徒も少なくない。しかし、転校すれば別の学校のアメリカンフットボール部でプレーできるかというと、そうではない。アメリカの多くの州の高校体育協会では、学校間での激しい選手の引き抜き合戦を防ぐために転校してすぐには試合に出場できない規則になっている。部員たちが住むオハイオ州高校体育協会にも転校に関する規則がある。
9月23日には、アーサリン高校からすでに転校したり、転校手続きをしている生徒たち6人がオハイオ州高校体育協会を相手どって、転校に関する規則の適用を一時的に差し止めるように訴えた。選手の保護者は「不当に、自らの意思に反して、高校フットボールの試合に参加する権利を奪われた。それはアーサリン高校の一員としてであれ、オハイオ州高校体育協会の加盟校の一員としてであれ同じである」と主張した。しかし、マホニング郡裁判所はこれを却下した。2度目の仮処分申立ても再度却下された。
一方、前述した訴えとは別にアーサリン高校からジラルド高校に転校した2名もトランブル裁判所に訴えていた。これに関しては10月に入ってからオハイオ州高校協会に対して出場不適格とすることを一時的に差し止めるよう命令が出た。「本件はOHSAA(オハイオ州高校体育協会)の細則が想定するようなシーズン途中の転校という典型的なケースではない。これは原告の意思ではどうしようもなかった、非常に不運な事態である」と判断された。シーズンの半分以上が過ぎた時点で、ようやく転校先でのプレーが認められたことになる。
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