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アメリカでも部活内いじめが起きていた 広陵野球部に類似、告発→批判受け自粛…巻き込まれる部員の現実

部内の暴力問題が後手を取る原因…最大の悪手は「いじめ軽視」

 アメリカンフットボール部の活動停止は、試合が発表の場になっているマーチングバンド部やチアリーダー部の活動機会がなくなることも意味する。アメリカの運動部には違反した選手だけでなく、チーム全体で責任を負う「連帯責任」は管見の限りないようだ。しかし、いじめや暴行を隠ぺいしたという学校側の対応が明らかになれば、当然ながら激しく批判され、調査のためにシーズン途中で活動を停止しなければいけない状況に追い込まれる。そうなれば、いじめに関与していない他の生徒も活動機会を失うことになる。連帯して責任を負うことは求められないが、巻き込まれて「活動機会を奪われる」ことは似ている。

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 アメリカでもいじめを撲滅するのは難しいが、運動部内にはびこるいじめや暴行を「以前からある」としたり「そういうことは珍しくない」と軽視するのは悪手中の悪手だ。対応が遅れれば遅れるほど、被害にあった生徒はもちろんのこと、関与していない生徒も巻き込んで、大きな傷を残すことになる。対応が遅れるのはいじめを軽視し、競技を継続するほうがはるかに重要であると考えているからだろう。いじめや暴行が発生したときにすぐに対応できるかどうかは、普段から、いじめや暴行を許さないことを学校、運動部でしっかり共有できているかということにかかっているのだと思う。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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