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怒るだけの指導者は「力量のなさを露呈」 バスケ元日本代表の信念…恩師の姿に見た選手育成の理想像

ベンドラメの言葉に子どもたちは真剣に耳を傾けた【写真提供:L_Game】
ベンドラメの言葉に子どもたちは真剣に耳を傾けた【写真提供:L_Game】

愛情と厳しさをあわせ持っていた恩師「指導者の理想であってほしい」

 ベンドラメ自身は小学生時代から今まで、一方的に怒られてつらい経験をしたことはなかった。指導を受けてきた監督はみな厳しかったが、そこには選手への愛情を感じ取れたし、自身もその厳しさを糧として乗り越えてきたと振り返る。一方で、他チームやニュース等で伝聞してきたことで、「みんながみんな、そうじゃないという部分も見てきた」と語る。誰もが自分と同じ境遇ではないという配慮が、大会の独自ルールに反映されているのだろう。

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 現役のBリーガーであるベンドラメが、なぜそのような俯瞰した視点で考えられるのか。

「幼少期から、人の表情に出る感情を読み取る習慣が身についていたと思います。自分は気にならないけど、この人は気になるだろうな、とか」

 彼の鋭敏な人間観察力が、「怒らないことの効用」「怒られたときに人はどう思うのか」といった視点を養ってきたのかもしれない。

 そんななか、ベンドラメが特に影響を受けたのが東海大学時代の恩師、陸川章・前監督である。これまでBリーガーや日本代表となる数多の選手を育成してきた陸川前監督について、ベンドラメは「感情的に怒ったところは見たことがない」と振り返り、愛情に満ちたポジティブな声かけのなかに厳しさがある指導で、チームを強くしてきた手腕に敬意を示す。

「そうした陸さん(陸川前監督)の姿勢が、僕は指導者の理想であってほしいと思っています」

 大人が感情的になりがちな傾向について、ベンドラメは「頭ごなしに怒る人って自分が一番だと思って、自分の知見だけで正解と決め、選手を怒ってしまうのでは」と分析。そのうえで、「強い口調でも少しでも前向きな内容の声掛けをしたり、『だからこうした方がいいんだよ』という言葉が追加されるか否かだけで全然違う」と、大人の言葉の添え方一つで、子どもたちの成長度が変わってくると確信している。

■ベンドラメ 礼生 / Leo Vendrame

 1993年11月14日生まれ。福岡県筑紫野市出身。ポジションはポイントガード兼シューティングガード。筑紫野中(福岡)―延岡学園高(宮崎)―東海大―日立サンロッカーズ東京/サンロッカーズ渋谷。高校3年時には、主力として高校3冠を達成。東海大4年時にBリーグ開幕前年の日立サンロッカーズ東京(現・サンロッカーズ渋谷)にアーリーエントリー選手として入団。Bリーグの初代最優秀新人賞(2016-17シーズン)などを受賞しており、また史上2人目となるB1通算500試合出場、史上初の400試合連続出場を達成した。連続試合出場記録は今季終了時点で424試合まで継続中。日本代表として2021年東京五輪出場を果たしている。

(牧野 豊 / Yutaka Makino)

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牧野 豊

1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「NBA新世紀」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。22年9月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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