怒るだけの指導者は「力量のなさを露呈」 バスケ元日本代表の信念…恩師の姿に見た選手育成の理想像
「選手たちにちゃんと道しるべを示したうえで厳しく接することが指導」
「厳しさ」を否定しているわけではない。「厳しさはむしろ必要なこと」とベンドラメは前置きしつつ、その真意を説明する。
【注目】日本最速ランナーが持つ「食」の意識 知識を得たからわかる、脂分摂取は「ストレスにならない」――陸上中長距離・田中希実選手(W-ANS ACADEMYへ)
「一方的に大人が怒りを子どもにぶつけるのは指導じゃない。選手たちにちゃんと道しるべを示したうえで厳しく接することが指導だと、僕は考えています」
感情的な怒りと建設的な厳しさを明確に区別することで、指導者と選手の双方向の関係づくりを促す狙いがある。
「指導者と選手の間には信頼関係が不可欠です。特に小中学生年代の選手は、感情的に怒られてしまうと、心を閉ざしてしまうもの。そのため、指導者にはただ怒るのではなく、『こういう答えにたどり着いてほしいから、今、この言葉を強く君にぶつけているんだよ』という意図が伝わる指導が必要です。
だから指導者の方には、感情的になる一歩手前で立ち止まり、客観的に状況を分析し、物事を冷静に、俯瞰的に見つつ、子どもたちと同じ目線で接する意識を持ってほしいという思いがあります」
そのうえで、指導者にはもう一つ、ルールとしてお願いしていることがある。
「タイムアウトの際には、選手同士が話す機会を作ってほしいと伝えています。選手たちは、『何が良くて何が悪かったのか』『次はどうすべきか』を話し合うことで、自ら考える力を養うことができると思うからです。大会の回数を重ねるうちに、考えるゲーム、考えるアスリートを育てたいというコンセプトが、より強くなってきました」
実際、開会式では、指導者に対して「ただ怒るだけなら、それは自分の力量のなさを露呈しているだけ」、選手たちには「ミスを恐れずにチャレンジしてほしい」とキャンプの意図をはっきりと言葉にして伝える。
それでも指導者が感情的になってしまったときには、「僕がテクニカルファウルを取る」(ベンドラメ)というルールを設けているが、幸い、これまでコールしたことはないとのこと。
ただ、「怒ってはいけない」ルールは子どもたちにも浸透しており、指導者が熱くなりそうなとき、「ベンチに座っている選手が、僕にめっちゃ、(コーチが怒っていることを)アピールしてきたりもするので面白いです」と楽しそうに語る。一方で、熱くなり始めた監督にベンドラメが近づくだけで、言葉を工夫しようとする姿が見られるという。
「一歩我慢している姿が見られるだけでも、大きな変化になると思います」
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)










