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Bリーグを駆け巡った驚きのニュース トップチーム率いて20年、ベテラン名将が異例「U18ユース」HCを選んだワケ

練習試合で選手のプレーをじっくりと観察する浜口氏【写真:長嶺真輝】
練習試合で選手のプレーをじっくりと観察する浜口氏【写真:長嶺真輝】

「次のキャリア」を考え始めた理由は

 Bリーグが開幕して9年。前述のように、長年トップチームのHCを務めた指導者がユースの指揮を執る例は少ない。しかも、浜口氏はB1で京都ハンナリーズや富山グラウジーズをプレーオフに導くなど実績も十分だ。だからこそ、今回の選択に対しては琉球ファンのみならず、Bリーグ全体としても驚きがあった。

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 コーチとしてのキャリア形成という視点から見た時に、どんな理由があったのか。シーズン終了後に福岡との契約が解除となり、各チームのスタッフ陣の契約状況がほぼ固まっていたことも一因と言うが、それだけではない。

「若くて優秀なコーチも育ってきている中、ずっとトップチームでHCをやれるということはありません。55歳という年齢を考えた時、いずれはGM、ユースや大学生の指導、個人でのスクール運営など、他のことを考えなければいけない時期が来るということは頭にありました」と明かす。

 確かに、昨シーズンのB1で言えば、50代以上の日本人HCは一人もいなかった。Bリーグの発展に伴ってプロコーチを目指す人材が増える中、以前に比べて循環するペースが早まっていることも背景にあるだろう。日本バスケ全体やBリーグの発展に向け、この「循環」を前向きな要素にしていきたいところだ。

 例えば、クラブの下部組織における育成システムが既に発達している欧州では、トップチームで実績を積んだベテランコーチが育成年代の指導者となり、次世代を担う選手を育てる役割にまわることも多い。スペインリーグでは後にNBA選手となるリッキー・ルビオやルカ・ドンチッチが10代半ばにしてトップチームデビューを飾った事例があるが、コーチ陣の厚みも力のある選手を輩出する大きな要因の一つだろう。

 浜口氏も「アンダー世代の育成はすごく大切」と強調する。「日本全体が強くなっていくためには、子どもたちがバスケットボールを選択する環境を整え、有力な選手を輩出していくことが重要です。福岡時代もトップチームとU15で合同練習をしたりしていました」と続ける。

 来年から始まる新リーグ「Bプレミア」ではドラフト制度が始まるが、U18に所属する選手については、そのチームに優先交渉権が与えられる。そのため、クラブからは「自前でしっかりと選手を育てたい」というビジョンを伝えられており、浜口氏自身も「チームはアンダーのことまで考えて組織を作らないといけない」と強く共感している。

 プロ選手を指導するのと、育成年代の選手を指導するのでは、当然ながらアプローチも異なる。戦術的な部分で「特別変えることはない」と言うが、「プロの選手だったら当然だと思っていることも、少し丁寧に、噛み砕いて説明しようと思っています。バスケット用語も、きちんと理解しているかを確認しながら進めたいです」と伝え方には気を配っているという。

 将来、選手がトップチームで活躍することを想定し、桶谷氏との連携も密に取る。「ピックアンドロールを多く使った方がいいかどうかとか、ポジションの概念をどう伝えるべきかなど、彼の考え方や意見を聞きながらU18に伝えていきたいと思います」と今後を見通す。

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