韓国も「嫉妬しないと言ったら嘘に」 アジア市場で台頭、Bリーグで覚醒した日本バスケにEASLも熱視線

代表戦でなくとも「世界的選手」と対戦
クラブ単位の国際大会はBリーグのチームや選手にとっても価値が高い。
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例えば、琉球は「沖縄を世界へ」というスローガンを掲げており、クラブ活動を通して本拠地である沖縄の知名度を上げ、地域発展に貢献するビジョンを描く。EASLの前身の大会にも出場歴があり、2018年の「テリフィック12」では優勝を飾るなどリーグとの付き合いは長い。
安永淳一GMも重要な大会と認識している。
「東アジアスーパーリーグは、沖縄を世界に知ってもらうための大切なプラットフォームです。世界の人たちに『東アジアと言ったら琉球ゴールデンキングス』と思ってもらえるようになりたいです。まだ若いリーグで、世界的には知名度が低いですけど、10年後、20年後には絶対に景色が変わっていると思います。僕たちはそこにちゃんと入り込むことが大切だと感じています」
日本代表に定着するような選手であれば他国のトッププレーヤーと対戦する機会は多いが、それ以外の選手にとって国際経験は貴重だ。Bリーグに所属する外国籍選手も多国籍化とレベル向上が進んでいるものの、独特な雰囲気がある海外でのプレーは、また違う刺激があるだろう。
準決勝で世界的な著名選手であるジェレミー・リンと同じコートに立った広島の山崎稜は、試合前にこう語っていた。
「Bリーグに所属してる中ではなかなか経験し得ないことなので、他国の素晴らしい選手たちとプレーするのは楽しみです。チームの力や個人として持ってるものがどこまで通用するのかを楽しみながらプレーできればと思っています」
今後も大会の安定した継続が期待されるEASL。来シーズンからはモンゴルのプロリーグも新規参戦することが決定しており、12~15チームに拡大する予定だ。ヘンリーCEOは「参加チームが増えていく中で、各マーケットで重要なパートナーを探して拡大していくことは必要です。将来的には出場給や賞金も拡大できればと考えています」と展望する。
アジアにおけるクラブの国際大会は現在、FIBA主催でアジアNo.1を決める「チャンピオンズリーグアジア(BCLアジア)」も開催されており、こちらは前身の「FIBAアジアチャンピオンズカップ」の時代から数えると20回以上の歴史がある。広島が参戦した昨年大会には中東のレバノンやアラブ首長国連邦、東南アジアのマレーシア、中国などのチームが参戦し、東アジアをカバーするEASLとは対象地域が異なっている部分もある。
ただ今後EASLが拡大していけば、日本や韓国のように両方に参戦するケースも増えてくるかもしれない。どう共存していくかは気になるところだが、ヘンリーCEOは「私たちも常にFIBAとディスカッションはしていますが、BCLはFIBAのグローバルプランの中に組み込まれた大会でプラットフォームやビジョンはEASLとは異なります。そこに関して踏み込むことはなく、私たちはEASLをどう盛り上げて、拡大していくかにフォーカスしているのが実情です」と説明するのにとどめた。
いずれにしろ、Bリーグを中心に日本バスケが急速に進化している中で、アジアにおけるクラブの国際大会の規模も拡大していけば、競技面、ビジネス面ともに発展のさらなる後押しとなることは間違いないだろう。EASLの国内における知名度はまだまだ高いとは言えないが、今後どのように成長していくのか。注視していく必要がありそうだ。
(長嶺 真輝 / Maki Nagamine)