浦和戦士が集結 元日本代表らの“噂のスプリント合宿”に潜入したらスゴかった
初参加の若手2人も効果実感「もう以前の走りができないくらい」
「力発揮の問題です。タイミングが合わないと遠くに飛びません。実はメディシンボールを投げる時のポジションと初速時の力が入るポジションはほぼ同じなんです。一瞬で大きな力を出すのは一緒です。着地している時間は短いけど、大きい力を出す。その動きをサッカーのシュートや着地のタイミングに転用させる。そのために大きな力を発揮させる引き出しを体に用意しないといけません」
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秋本氏はこうした一つ一つのメニューはどんな狙いを持ち、何を得たいのか、説明して共通理解を持った上で能力を伸ばしていく。毎年のようにクオリティーを高め、秋本氏と二人三脚で取り組んできた宇賀神も手応えを隠さない。
「6年間やって技術の部分では固まりつつある。毎年、新たな課題が見つかり、それを克服して1年後につなげ、一歩ずつ進歩している。今年の課題はしなやかさと技術を合体させること。走りはそれによってパワーが生まれる。柔と剛の組み合わせは難しい。でも、走りは単純だけど、深くて面白い。より進化できるように。
でも、ここでやったことが100%なわけじゃない。今後、キャンプで激しい練習あり、そこでいかに自分の技術を生かせるように意識できるかがキーポイント。やったことを自分たちのサッカーに落とし込んでキャンプで実行し、結果に残していく。それができて、この合宿の意味がある。自分にとって欠かせない合宿です」
今年から加わったのが、2人の若手だ。昨季ユースから昇格した橋岡と荻原は初のオフで自主トレ先が固まっておらず、宇賀神が声をかけた。秋本氏の評判を聞いていたこともあって一緒に参加。もともと、浦和の試合をチェックしていた秋本氏が特に気になる2人として話していたことが、宇賀神が声をかけたきっかけだった。秋本氏は2人について、こう振り返る。
「崩れた状態で走るシーンが多く見られました。それでも、90分間やれてしまう。ただ、それが原因で足がつったりするのはもったいない。走りが変われば、違う世界を見せられる。余裕をもって90分間できるし、プレーの幅も広がる可能性は大いにあると思っていました。90分のうち、ボールを触る時間の方が短い。走りをカスタマイズすることで変化が出せたら凄くいいなと、2人を見ていました」
初めて参加した2人も効果を実感している様子。橋岡は「フォームが凄く良くなっているし、もう以前の走りができないくらいに変わっている」と言い、「カウンターで前に出ていく場面、守備で戻っていく場面は瞬発の最初のダッシュで絶対変わる。こうやって指導してもらってトライしてできるようになりたい」と昨季の出場25試合から、レギュラー奪取を目指す。
昨季は出場8試合で、勝負の2年目を迎える荻原も「一回一回、映像を撮って走ることで、自分の意識と実際のフォームのすり合わせができ、練習の効率も高くやれている」と語り、「トップスピードを上げる作業も必要だけど、まだ90分を戦い生きる体力がない。この合宿から、同じ速度でも体にかかる負荷を下げた上で90分間走れたら収穫になる」と課題を挙げた。