「俺、プロでもやれるかも」 実業団からBリーグへ…小針幸也が安定した生活を捨て挑んだ理由
「こんなにきついのか」プロ入り直後に受けた衝撃
2023年の2月初旬。同期たちから少し遅れて始まった小針のプロ生活は、出だしからフルスロットルだった。小針は懐かしげに振り返る。
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「シーズン終盤でチームがほぼ完成していたので、死ぬ気で過ごしました。覚えることも多いし、外国籍の選手とやるのも初めて。最初マット・ボンズ(現・大阪エヴェッサ)は全然パスをくれなかったし、ジョーダン・ヘディング(現コンバージ・ファイバーエクサーズ)も自ら攻めたいタイプだから『早くよこせ』みたいな感じでしたし。『練習に行きたくないな』『こんなにプロってきついのか』と思いました」
2020年に創設し、ファーストシーズンの2021-22シーズンにB3優勝・B2昇格を果たした長崎は、この年も1年でのB1昇格というミッションを掲げていた。トライアウトから這い上がってきたメンバーも在籍しており、誰もがハングリーで必死だった。
「合流初日に狩俣さん(狩俣昌也)とマッチアップしたら、遊ばれましたもん(笑)。健滋朗さん(前田健滋朗ヘッドコーチ、現・滋賀レイクスHC)もそれをめちゃくちゃ煽ってきたし、強く言わないと練習を変わってくれない人もいましたし。最初はそういう雰囲気に慣れるのが大変だったけど、だからといって『入ったばかりだから……』みたいな姿勢は許されなかった。本当に刺激的でした」
死に物狂いの奮闘の末に信頼を得た小針は、加入して5節目となる香川ファイブアローズ戦で初めて先発起用され、以降もB1昇格のワンピースとして仕事を全う。翌年の契約を勝ち取り、年明け以降からは安定的にプレータイムを獲得し、3月からシーズン終了までの21試合のうち16試合で先発のPGを担った。