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「この馬がダート界を席巻する」と謳われても4着 チャンピオンズC王道データに該当した強豪馬の“不思議”

今年の中央競馬もあと1か月を残すのみ。今週は下半期ダートの王者を決めるG1チャンピオンズカップが12月1日、中京競馬場のダート1800メートルを舞台に行われる。調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」を寄稿する競馬ライターの井内利彰氏は3年前のレースを勝った「学習能力の高い馬」には、追い続けたからこそ気づいた意外な事実に注目。調教捜査官としてのあり方を見直すと同時に、同レースの傾向にも触れた。

2021年チャンピオンズカップ、6馬身差で圧勝したテーオーケインズ(右)【写真:産経新聞社】
2021年チャンピオンズカップ、6馬身差で圧勝したテーオーケインズ(右)【写真:産経新聞社】

2021年のチャンピオンズCを勝ったテーオーケインズの“不思議”

 今年の中央競馬もあと1か月を残すのみ。今週は下半期ダートの王者を決めるG1チャンピオンズカップが12月1日、中京競馬場のダート1800メートルを舞台に行われる。調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」を寄稿する競馬ライターの井内利彰氏は3年前のレースを勝った「学習能力の高い馬」には、追い続けたからこそ気づいた意外な事実に注目。調教捜査官としてのあり方を見直すと同時に、同レースの傾向にも触れた。

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 2021年のチャンピオンズカップ。勝ったテーオーケインズは2着に6馬身の差をつけて圧勝。同じレースに出走していた関係者、ダート重賞で勝ったことがある馬を担当している調教助手などから「来年はこの馬がダート界を席巻する」と評価されるほど、インパクトのあるレースだった。

 デビューは2歳10月。京都ダート1400メートルを3着に敗れて、2戦目の未勝利で同じ条件を使って1着。この時が2着に4馬身差をつけている。そして、12月に2歳1勝クラスの特別戦を使うが、これまた3着。年が明けて、2月に東京ダート1600メートルの1勝クラスを使うときっちり勝ち上がる。

 何が言いたいかというと、一度経験して負けた舞台でも、一度経験して負けたクラスでも、次にはきっちり巻き返して結果を出す。そんな学習能力の高い馬がテーオーケインズなんだと私の頭にはインプットされていた。

 だから、3歳の暮れにまだオープン特別も勝っていない状態で東京大賞典に出走して4着した時は「来年の帝王賞か東京大賞典を使ったから勝つ」と信じて疑わなかった。4歳になると名古屋城Sでオープン勝ち、アンタレスSで重賞勝ち、そして帝王賞でG1を制覇。あっという間にダートのトップクラスまで昇り詰めたものの、4歳秋のJBCクラシックでは4着。たまにポカをする馬なんだという印象も出てきた。

 確かに2021年のチャンピオンズCは強かった。しかしその後、2022年と2023年のチャンピオンズCでは4着が続いた。これはテーオーケインズが引退してから気づいたことだが、10勝を挙げているが、同じレースを2回勝ったことがない。

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井内 利彰

調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。競馬予想TV!(フジテレビONE)に出演中。JRAの競馬場、ウインズのイベントに出演し、JRA主催のビギナーズセミナーの講師としても活躍。著書に「競馬に強くなる調教欄の取扱説明書」「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」などがある。

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