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無安打で決勝点、難敵モイネロを焦燥させた快足侍・五十幡の「計算」 勝負のあやは「互いに知る武器」【プレミア12】

野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」は17日、オープニングラウンド・グループBの2試合を行い、日本は台北市の天母球場でキューバと対戦。7-6で4連勝とし、東京ドームで行われるスーパーラウンド進出を決めた。キューバに食い下がられる展開の中、8回に決勝点を叩き出したのは「5番・三塁」で先発した栗原陵矢(ソフトバンク)の左犠飛。この場面で、相手バッテリーにプレッシャーをかけられたと喜ぶのが、代走出場した五十幡亮汰(日本ハム)だ。決勝のホームを踏むまでの裏側を聞いた。

侍ジャパンの五十幡亮汰【写真:小林靖】
侍ジャパンの五十幡亮汰【写真:小林靖】

日本は4連勝で東京ドーム開催のスーパーラウンド進出決定

 野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」は17日、オープニングラウンド・グループBの2試合を行い、日本は台北市の天母球場でキューバと対戦。7-6で4連勝とし、東京ドームで行われるスーパーラウンド進出を決めた。キューバに食い下がられる展開の中、8回に決勝点を叩き出したのは「5番・三塁」で先発した栗原陵矢(ソフトバンク)の左犠飛。この場面で、相手バッテリーにプレッシャーをかけられたと喜ぶのが、代走出場した五十幡亮汰(日本ハム)だ。決勝のホームを踏むまでの裏側を聞いた。

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 日本は5回までに5-1と大きくリードしたものの、6回に3点、7回に2点を失い6-6の同点とされた。6回からキューバのマウンドに上がったのは、今季パ・リーグの最優秀防御率に輝いたリバン・モイネロ(ソフトバンク)。7回は四球の走者こそ出したものの、打者4人で無得点に終わった。

 8回、先頭の小園海斗内野手(広島)が遊ゴロ失策で出塁すると、代走に起用されたのは韋駄天・五十幡。死球と内野ゴロで三塁に進み、打席には栗原。三塁ベースに立った五十幡は何度もゴロゴーのタイミングを伺いながら、前に出た。

 フルカウントからの7球目、栗原が左翼に打ち上げたフライでスタートを切ると、本塁は悠々のセーフ。スライディングで生還した五十幡はそのまま飛び上がって両手を突き上げガッツポーズ。この回無安打で決勝点を奪い「盗塁だけが求められていることじゃなくて、得点につなげるのが僕の仕事。自分が塁に出ることで、次のバッターにつないでいけると思うので」と言う通りの活躍を喜んだ。

 この場面、投手と走者が、普段から対戦している2人だったことに勝負のあやがあった。五十幡は、モイネロがいくつかのクイックモーションを持っていることを知っていた。「今日のそれまでのクイックより、絶対速く来るのはわかっていたんで、(盗塁のスタートを)切れたら行こうと思ったんですけど……。しっかりプレッシャーをかけられたのかと思います」。モイネロは走者を気にしたのか、なかなか制球が定まらなかった。

 さらに五十幡は「勝手にといったらアレですけど、モイネロが慌ててくれたというか、警戒してくれた。クイックが速くなる分、コントロールが乱れるかもと思ったんで」。モイネロが五十幡を知っていたことも、日本には幸運だった。快速ランナーの起用は、狙い通りの成果を生んだ。

 時折、強い雨が降る中での試合。天母球場は人工芝で、濡れた時の滑りやすさはあった。「やっぱり足場は自分も少し気になる部分ありましたし、足を取られないように。多少の難しさはありましたけど、1球1球集中して」。狭いベンチ裏で、出番を告げられる前から準備に余念がなかった。毎日のように、対戦相手も球場も変わる。「慣れない場所で何ができるかが大事」と、徹底した準備で勝利を呼び込んだ。

「一つ持ち味を出せた。これからもっともっと、これ以上に厳しい場面があると思うので備えていきます」。侍ジャパンの爆速男が、国際大会を戦いながら作り上げている自身のスタイル。深めた自信は、必ずスーパーラウンドでチームを救う。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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