ハンドボール新リーグは課題山積のまま船出 寂しい観客890人、短すぎた準備期間…段階的プロ化へ重要な10か月
観客数の目標は1試合平均1000人…パリ五輪出場は追い風に
将来的に「世界トップレベルのリーグ」を目指すというリーグHだが、昨年まで48年続いた日本リーグと目に見えて大きく変わるのは「チーム名に地域名をつける」「12歳以下のチームを持つ」くらい。今後段階的に「プロ契約選手11人以上」や「チームの独立法人化」など時間をかけながら進めていくから、劇的に変わることはなさそうだ。
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観客数も目標は1年目の今季が1試合平均1000人。昨年の700人や開幕戦の890人を考えると高いハードルにも思えるが、これも5年後には2000人まで増やすという。東京はもともとエンタメ性を重視した「プロクラブ」だが、他のチームもファンサービスなどに本格的に取り組む必要がある。選手たちの頑張り以上に、リーグやチームの努力がカギになる。
日本リーグ4連覇の大崎電気で活躍し、20年に東京に移籍した元日本代表主将の信太弘樹は「僕が日本リーグに入ったころ(12年)とはハンドボール界も変わった。ただプレーするだけから。今は見てもらうことも意識するようになりました」と話した。企業チームだけでなくクラブチームも誕生し、移籍も活性化。日本代表が36年ぶりに五輪予選を突破したこともハンドボール界の追い風になっている。
とはいえ、同じアリーナ球技のバスケットボールは16年にBリーグが発足し、26年には「Bプレミア」が始まる。バレーボールも来月にはプロ化を目指してSVリーグが開幕する。信太は「バスケやバレーは、もっと変わっている。魅力的な試合で多くの人に来てもらってリーグHを成功させないと、完全に置いて行かれます」と危機感を口にした。
開幕戦を終えて中村代表理事は「観客が少ないのは残念。もっと露出を増やして、リーグHを周知しないといけない」と厳しい表情で言った。それでも、新リーグはスタートを切った。14チームが争う男子に続き、7日には11チームの女子が開幕。来年6月のプレーオフで、初代王者が決まる。リーグH、いや日本ハンドボール界にとって大事な10か月が始まった。(荻島弘一)
(THE ANSWER編集部)