[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

天才レフティーも認めた久保建英の「CREMA」 10代で何度も逆境に直面、克服し増した“深み”

フランも認めていた久保建英の才能

「運がない」

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 指導者次第で、恵まれた環境にない選手もいる。しかし厳しいようだが、それも何らかの創意工夫で乗り越える者だけが、高みに辿り着ける。なぜなら、どうにかタイミングを得て試合に挑んだとして、上手くいかないことのほうが多い。人生はその連続である。逆境でどう振る舞うか――。その行動にこそ、一流と普通の差が出るのだ。

 能力が際立った選手は、言語化が難しい空気感を放ってプレーするところがある。

「何かやりそうな予感がある」

 そうした漠然とした期待感というのか。同じ技術を出すのでも、どこか周りと違う。芳醇な香りが立つような感じは、天才性とも訳せるかもしれない。

「CREMA」

 スペイン語でクリームを意味するが、「極上な部分」とも訳せる。それは一流選手の特有の特徴と言える。例えばエスプレッソやカフェラテやビールの泡の部分を指し、儚く消えてしまうが、そこに「うまみ」が詰まっているというのか。

 FCバルセロナ(バルサ)で育成年代を過ごしていた久保建英は、当時CREMAの評価をほしいままにしていた。スキル、ビジョンが特別だっただけでなく、フィニッシュワークも高く評価された。ゴールという最も難しい作業で、豊かな香りが漂った。アンス・ファティ、エリク・ガルシアという、のちにスペイン代表にもなる世代を引っ張っていた。

「(バルサのこの世代は)タケ(久保)が残っていたら、メッシ、セスク、ピケがいた黄金世代の再現になったかもしれない」

 元スペイン代表で、1990年代から2000年代のデポルティボ・ラ・コルーニャで華々しい活躍を遂げた天才レフティー、フランはそう語っている。 当時、彼は息子であるニコ・ゴンサレスが久保と同じチームだったことで、その世代に精通していた。

「タケは技術的に申し分ない。性格的にも強さを感じるし、ゴールへの意欲もある。CREMAを感じる少年だよ」

 フランはそう言っていたが、左利きの背番号10だった彼から見ても、久保は異彩を放っていたという。

1 2 3

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集