高校時代は「こんなに走るのかと」 名門出身の浦和ユース監督、指導者として感じる部活との違い
引退後はJクラブ一筋で指導「勝ち切るところに少し弱さを感じる」
さらに往時の自分と今の浦和の選手を照らし合わせ、「自立というところでは彼らも少しずつ変わりつつあるが、まだ緩い。本気でプロを目指しているのか、という観点からしたら足りないですね」と述べた。
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高校チームで鍛錬を重ねた萩村監督が、教える側に回ってからはクラブチーム一筋で指導する。双方を経験したが故の所感がこれだ。
「競争して勝ち残っていく高体連の選手はメンタル的に強いと思う。そこにクラブチームのような上手さが加わればさらにいい。逆にクラブは選ばれた選手の集まりなので、技術的には高いかもしれないが、勝負を決める、勝ち切るというところで少し弱さを感じる。選手間でもっと競争させてあげたいですね」
プリンスリーグは7月2日に前半戦が終了し、浦和は6勝2分1敗の勝ち点20で2位。3年ぶりのプレミアリーグ復帰へ視界は良好だ。
とはいえ、取りこぼしもある。7位ヴァンフォーレ甲府U-18戦は防戦一方に追いやられ、0-0で引き分けるのがやっと。最下位の矢板中央高には、3-1とした後の6分間で2失点し、勝ち試合をみすみす引き分けている。
指揮官がもどかしいのは、こういった勝負への弱さだ。ハードワークしている勝ち試合のように、「常にがむしゃらにやらないといけない」と高体連の選手に共通するひたむきなプレーを求める。
試合中に指示を出すのは数えるほどで、しかも簡潔だ。主将のDF青柳仰は「練習では細かい要求がありますが、試合になると選手主体の部分が大きい。僕らは監督の意見をしっかり吸収した上で、自分たちで前向きなトライをしています」と互いの関係をこう説明した。
主体性や機動力を植えつけるのが大きな狙いで、さらに上のステージに進んだケースも視野に入れる。萩村監督は「ああしろ、こうしろと言えばできると思う。でもプロになったらベンチが発する言葉は声援で聞こえないので、選手の判断力と戦況を読む力にかかってくる。いろんな状況の中で選択肢を多く持たせてあげたいんです」と力説した。
浦和は03年開幕のプリンスリーグ関東の創設メンバーで、11年にプレミアリーグEASTに昇格。第一期として参陣し、得点王に輝いた矢島慎也(レノファ山口)の活躍などで4位に入った。しかし翌年は9位でプリンスリーグに降格すると8位、8位、7位と低迷。それでも4年目の16年に優勝し、プレミアリーグ参入戦も勝ち抜いて復帰した。