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セルティック移籍に「後悔はない」 怪我に泣いた2年半、水野晃樹が間近で見た中村俊輔の凄さ

競争の激しいプロサッカーの世界で、20年以上にわたってキャリアを積み重ねられるのは限られた選手にのみ与えられる栄誉だ。今季からJ3のいわてグルージャ盛岡に所属する37歳の元日本代表MF水野晃樹も、2004年に高卒ルーキーとしてJリーグデビューを果たして以来、プロサッカー選手として20年目のシーズンを戦っている。だが、その道のりは決して平坦なものではなかった。名将イビチャ・オシムからの寵愛を受けて飛躍するも、初の海外移籍で挫折を味わい、度重なる膝の怪我にも悩まされた。

22歳でセルティック移籍を決断した水野晃樹(右)。中村俊輔の存在は大きかったと振り返る【写真:Getty Images】
22歳でセルティック移籍を決断した水野晃樹(右)。中村俊輔の存在は大きかったと振り返る【写真:Getty Images】

水野晃樹「名将に愛された男の20年」第4回、挫折を味わったセルティックでの日々

 競争の激しいプロサッカーの世界で、20年以上にわたってキャリアを積み重ねられるのは限られた選手にのみ与えられる栄誉だ。今季からJ3のいわてグルージャ盛岡に所属する37歳の元日本代表MF水野晃樹も、2004年に高卒ルーキーとしてJリーグデビューを果たして以来、プロサッカー選手として20年目のシーズンを戦っている。だが、その道のりは決して平坦なものではなかった。名将イビチャ・オシムからの寵愛を受けて飛躍するも、初の海外移籍で挫折を味わい、度重なる膝の怪我にも悩まされた。

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 苦難を乗り越えながら駆け抜けた日々に、何を感じ、どんな答えを見つけてきたのか。22歳でセルティック移籍を決断した水野。海外の舞台に果敢に挑んだ2年半の日々を振り返った。(取材・文=小宮 良之)

 ◇ ◇ ◇

――2022-23シーズン、アンジェ・ポステコグルー監督が率いるセルティックでは、古橋亨梧や旗手怜央など5人もの日本人選手が活躍しました。古橋は得点王、MVP。時代は違いますが、自らのセルティック挑戦を振り返って、何をすべきだったのでしょうか?

 水野晃樹は2008年から2010年まで2年半、セルティックでプレーしたが、リーグ戦11試合出場1得点に終わっている。

「難しいですね……」

 彼は少し考え込んでから、こう続けた。

「もっとサッカーに向き合うべきだったと思います。俊さん(中村俊輔)を見ていると、サッカーに対してストイックでした。練習前後だけでなく、試合後までバイクを1時間もやって帰る、とか。体のメンテナンスにすごく気を遣っていました。それを間近で見ながら、俺はやれなかった。少なくとも、取り組み方のところで変えられたことはあったはず。試合前、後の身体のケアをもっとしていたら、怪我もすることはなかったんじゃないかと」

 水野にとって、スコットランド挑戦とはなんだったのか?

「(2007年11月に倒れて入院していた)オシムさんの入院先に、大好きなワインを持参し、お見舞いとセルティック移籍の報告に行きました」

 水野は当時を思い出すように語る。

「病室では、オシムさんはいつものようにサッカーを見ていました。『スコットランドでチャレンジしてきます!』って伝えたら、『一段、二段、三段と跳ばすジャンプほど難しい挑戦になるぞ。でも、今までやってきた自分を信じてやってこい!』って言ってもらえました」

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水野 晃樹

サッカー元日本代表 
1985年9月6日生まれ。静岡県清水市(現・静岡市)出身。清水商業高(現・清水桜が丘高)を卒業後、2004年にジェフユナイテッド市原(現・千葉)に加入。イビチャ・オシム監督の指導の下、2年目の05年に出場機会を増やすと、U-20日本代表にも選出されオランダでのワールドユース(現・U-20W杯)に出場した。07年にはJ1リーグで29試合9得点の活躍を見せ、日本代表にもデビュー。08年1月、セルティックへ初の海外移籍を果たすが怪我もあり不本意な結果に。10年6月に柏レイソルへ移籍して国内復帰を果たすと、8クラブを渡り歩き、今季からJ3のいわてグルージャ盛岡に所属している。

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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