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スポーツ賭博が子どものスポーツに与える影響 5年で31兆円超が賭けられた米国の恩恵と問題点

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「スポーツ賭博が子どものスポーツに与える影響」について。

今回のテーマは「スポーツ賭博が子どものスポーツに与える影響」について(画像はイメージです)【写真:Getty Images】
今回のテーマは「スポーツ賭博が子どものスポーツに与える影響」について(画像はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―今回はスポーツ賭博が子どものスポーツに与える影響

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「スポーツ賭博が子どものスポーツに与える影響」について。

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 アメリカでは2018年に米連邦裁判所がスポーツ賭博の解禁を認める判断を示し、スポーツ賭博が合法化された。スポーツ賭博を合法化するかどうかは各州に委ねられているが、合法化した州はすでに30州を上回り、さらに増える見込みである。

 この5年間で、スポーツと賭博はいかに相性がよく、人々を惹きつけるかを目の当たりにした。5月8日のAP通信の記事によると、2018年からの5年間で、米国人が合法的にスポーツに賭けた金額は2200億ドル(約31兆円)以上になるという。当初は、選手保護の観点から消極的だったプロスポーツ側も、今では賭けを提供する企業と提携するようになった。

 スポーツ観戦は、よく知っているチーム、よく知っている選手に肩入れして応援するのがだいご味のひとつだ。しかし、お金を賭ければ、選手やチームの存在がよくも悪くも近くなって、一挙手一投足に注目できる。スポーツへの関心が高まり、プロスポーツ業界はうるおい、賭けを提供する会社は儲かり、最終的には州の税収が増える。しかし、良いことばかりが起こるわけではない。問題点については記事後半で触れる。

 ニューヨーク州では2021年4月にモバイル端末からもスポーツに賭けることが合法化された。これを受けて、子どものスポーツの機会平等を推進する団体が、スポーツ賭博によって州が得られる税の一部を低所得世帯の子どものスポーツ活動に還元するよう働きかけた。初年度はスポーツ賭博によって州が得られる税収の1%を与えられ、2年目以降が500万ドル(約7億円)を与えられることになった。

 日本にもスポーツ振興くじがある。このくじでも試合の勝敗にお金を賭けるものだが、くじの目的はスポーツ振興であり、アメリカのように賭博提供会社が営利を目的として業務を行っているのとは本質的に異なるものだと思う。

 それでは、どのような経緯によって、ニューヨーク州では賭博による税収の一部を経済的に不利な立場にある子どものスポーツに当てることになったのだろうか。これを推し進めたモニカ・ウォレス州議会議員にメールで取材申し込みをしたところ、広報担当者から以下の回答を得た。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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