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54歳で現役復帰のシジマール Jリーグ草創期を彩った“クモ男”の一途なGK愛

7歳からGK一筋 愛情があれば「身長のハンディだって補える」

 指導者に転身してからも、熱血ぶりが目を引いた。

「日本代表の弱点がGKだと思われるのが、本当に嫌なんだ。昔はブラジルでも、優れたGKが育たないと言われてきた。でも最近ではトップレベルのGKが出てきている。大切なのは、GK専門のコーチが若年層からしっかりと指導をすることだよ」

 シジマールは続けた。

「何より大切なのは、GKというポジションに愛情を持てるかだ。毎日とてもハードなトレーニングに取り組まなければならないからね。逆にそのトレーニングに歓びを見出せれば、プレーの質は培っていける。身長のハンディだって補える。日本にもテクニックの高いGKはたくさんいるんだ。近い将来、国際的にも通用する選手が出てくるはずだよ」

 7歳から大好きなGK一筋。「そんなブラジル人は滅多にいないよ」と笑みを湛えていた。

(文中敬称略)

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe


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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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